“リノベタウン韮崎”の始まり
韮崎駅前商店街の再生は、1967年に建設された地域の象徴的ビル「アメリカヤ」がきっかけでした。閉店から15年もの空白期間を経て、2018年に地元の建築設計事務所IROHA CRAFTによってリノベーションされ、見事に復活を遂げました。

この「アメリカヤ」のリノベーションをヒントに、2023年から韮崎市商工会が主体となり、市や民間企業と連携して「韮崎駅前商店街 空き店舗ツアー」がスタートしました。このツアーは毎年約40名が参加する人気イベントとなり、開始から3年間で20店舗以上が駅前商店街に新規オープンするという、起業の好循環を生み出しています。

確かな成果を生む「空き店舗ツアー」
このツアーは今回で3回目を迎え、初回から継続して成果をあげています。参加者からの評価や、実際に成約に結びついた件数が年々増加しており、信頼と注目度の高さがうかがえます。
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2023年 第1回:参加者41名/マッチング2件
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2024年 第2回:参加者39名/マッチング5件
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2025年 第3回(今回):参加者21名/マッチング1件(現時点)
これまでに合計8件のマッチングが生まれ、飲食、物販、サービス関連など、多彩な新しい店舗が商店街に続々とオープンしています。これは、韮崎市、商工会、民間企業が連携し、「挑戦者を生む仕組み化」に成功している証拠だと言えるでしょう。




リアルな街歩きで見える“可能性”
ツアー当日は、午前10時から夕方まで駅前商店街を巡り、19軒もの空き店舗やリノベーション物件を内見する濃密な一日が提供されます。見学できる物件は多種多様で、駅徒歩1分の広い空き店舗、元豆腐屋、築70年の長屋を再生した「アメリカヤ横丁」、映画ロケ地にも使われた元文具店など、そのバリエーションは豊かです。
ネットには掲載されていない「未公開物件」も多く、参加者からは「家賃の安さに驚いた」「物件ごとの光の入り方や周辺環境がよく分かった」「ここでなら挑戦できる」といった声が上がっています。

さらに、ツアーをきっかけに移住・起業した先輩たちのリノベーション店舗「PEI COFFEE」「parfait tokidoki」、そして昨年のマッチングから誕生した「NEXT MOUNTAIN」を訪問。リノベーションから生まれた成功事例の“その後”を直接見られるのは、このツアーならではの魅力です。



移住と起業のリアル、そして支援体制
見学後には「アメリカヤトーク」が開催され、IROHA CRAFT代表の千葉氏が「アメリカヤ」復活と横丁開発の背景、「エリアリノベーション」の構想を語りました。

都内から移住した眞壁氏からは、「初めて韮崎を訪れた日に“ここに住む”と直感した」「行政・商工会のサポートで、理想の働き方と家族との時間が両立できるようになった」というリアルなエピソードが語られ、参加者は熱心に耳を傾けていました。


市役所や商工会からは、補助金、起業支援、移住サポート体制なども紹介され、行政・商工会・民間企業が連携した支援体制に、参加者は安心感と魅力を感じたようです。交流会では、参加者、移住者、主催者が乾杯し、挑戦を後押しする“ゆるやかなコミュニティ形成”も、このツアーの重要な価値となっています。

継続が生んだ「5つの波及効果」
空き店舗ツアーを3年間継続してきたことで、韮崎市には想定を超える5つの波及効果が生まれています。
①空き店舗オーナーの意識変容
空き店舗ツアーの継続と外部からの注目によって、空き店舗オーナーから「長年閉めていた店舗を貸してもいい」という声が増加しています。地域の中で空き店舗が「困りごと」から「価値ある資源」へと認識が変わりつつあるのです。


②視察来訪の急増
ツアーの認知度拡大により、イベント以外での視察来訪も増加しています。
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移住・起業希望者の個別訪問:「個別に街を案内してほしい」「物件を見たい」といった相談が急増し、先輩移住者の店舗を訪問後、商工会へ相談するケースも増えています。
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行政機関や大学生などの視察:県内外の行政機関担当者や各種団体、大学生などが、韮崎の取り組みを学ぶために視察を実施。韮崎市は「実践的な地域再生モデルの視察拠点」として注目度を高めています。


③他地域への「韮崎モデル」輸出
空き店舗問題に悩む他地域からも「韮崎の取り組みを学びたい」という声が寄せられ、実際に石川県白山市鶴来(つるぎ)地区では、韮崎のツアーを視察した上で独自の「空き店舗ツアー」を実施しました。これは、韮崎市の取り組みが単なるローカル事例ではなく、「他地域でも応用可能な地域再生モデル」として評価されていることを示しています。

④映画ロケ地としての活用
ツアーで紹介されていた空き店舗の写真・情報が都内の映画制作会社の目に留まり、特徴的な街並みや建物の雰囲気が気に入られて、「韮崎市内の空き店舗が映画のロケ地」として採用されました。実際に全国公開作品の撮影が行われ、空き店舗がまちの新たな魅力発信にも繋がっています。



⑤まちづくり会社の設立
「リノベタウン韮崎」として市内外からの関心が高まる中で、まちづくりに意欲のある人々が集い、「韮崎の未来を、描き、つくる。」をコンセプトとした合同会社ニラサキヤが2025年1月に設立されました。韮崎を「知る」「楽しむ」機会を提供する韮崎ファンづくり事業を進めています。

韮崎モデルが描く地域のこれから
韮崎市は、空き店舗を「未来の資源」と捉え、「移住×起業×リノベーション」を軸に持続可能な地域活性化サイクルを創り出しています。この循環を生み出しているのが、空き店舗ツアーであり、行政・商工会・民間企業が一体となった取り組みの成果です。空き店舗ツアーは、もはや「一過性のイベント」ではなく、持続可能なまちづくりモデルとして定着しつつあります。




今後の展望
韮崎市商工会は、行政などと連携し、今後もツアーの継続開催、物件情報の更新、移住・起業希望者へのフォローアップ、補助金案内、地域とのマッチング支援を強化していく方針です。さらに、映画ロケや地域外イベントなど、新たな空き店舗活用も推進し、資源の可能性をさらに広げていくことでしょう。
空き店舗から始まる“まちの未来”。この継続が生んだ成果と波及効果は、その可能性の大きさを証明しています。韮崎市は、空き店舗を未来の可能性へと変える取り組みを推進し、韮崎駅前商店街の魅力をさらに高めていくことでしょう。




