「支援される側から支援する側へ」の教育モデル
このケーススタディ「From being supported to becoming supporters(支援される側から支援する側へ)」は、広島市立広島特別支援学校での実践が中心となっています。日本の教室で学ぶ子どもたちが、紛争や貧困、資源の少ない環境にある海外の子どもたちとつながり、「教材づくり→現地での使用→フィードバック→再設計」という循環を生み出すことで、お互いの尊厳や主体性を育む「往還型インクルーシブ教育」としてまとめられました。

なぜ国際的に注目されたの?
このモデルが国際的な知見として評価されたポイントは、主に3つあります。
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一方的な支援ではない、相互に「支える側」になる設計
このモデルは、障害のある学習者や紛争・避難下の子どもたちが「支援される側」に固定されがちな状況を変え、両者が「支える側」としても活躍できる学習デザイン(return-loop)を提示しています。これによって、「かわいそうだから助ける」という関係ではなく、お互いの尊厳を大切にした協力関係が築けることが、国際的にとても重要な示唆として評価されました。 -
Create–Reach–Co-Reflect–Return(CoRe Loop)の実現可能性
なかよし学園の取り組みは、「作って終わり」ではなく、学びがどんどん改良されていく循環モデルとして明確に示されています。-
Create: 日本の教室で、誰もが参加できる教材や平和教材を一緒に作る。
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Reach: それらの教材を海外の教育現場で実際に使ってもらう。
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Co-Reflect: 現地からの写真、動画、コメントなどで反応をもらい、一緒に振り返る。
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Return: その学びを再編集して、次の実践へとつなげる。

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先生の専門性も高める「教員研修・校内文化」への広がり
このケーススタディは、子どもたちだけでなく、先生方が権利基盤型、参加型、PBL型(問題解決型)のインクルーシブ教育に取り組むプロセス、つまり学校全体での学習文化づくりも対象にしています。単発のイベントで終わらず、学校文化として継続できる枠組みであることが、国際的な知見として価値があるとされました。
経済産業省採択事業として全国50校以上で展開中!
なかよし学園の「世界とつながる学び」プログラムは、子どもたちの作った教材を海外の現場で活用し、その反応を教室にフィードバックする往還型(CoRe Loop)プログラムです。2025年度は経済産業省の「探究・校務改革支援補助金」に採択され、全国50校以上の規模で展開されているそうです。広島特別支援学校での実践では、福笑いなどの教材がカンボジアの避難民支援に役立った事例も報告されており、日本の学びが国際的な現場で実際に使われ、教室へフィードバックされるという「実証の連鎖」が、今回の国際掲載内容ともぴったり合っています。

国際掲載を次へのステップに!今後の取り組み
今回の掲載は、なかよし学園の取り組みが「インクルーシブ教育の実践的な知恵」として世界中で参考にされる形に整理されたことを意味します。なかよし学園はこれをゴールではなく、さらなる改善と発展のためのスタートラインと考えています。
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特別支援学校だけでなく、通常の学校やフリースクールなど、さまざまな学びの場で使える「普遍的な実装モデル」として、導入手順や教材化の方法を整備していく予定です。
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学習者の主体性や学校文化、相互交流の質といった評価を、現場の負担を増やさずに集めていきます。
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海外のパートナーと一緒に、「支援」という一方的な関係ではなく、「関係」を生み出す往還の仕組みをさらに広げていきます。

「支えられる学び」が「誰かを支える学び」に変わるとき、教室は社会と、そして世界とつながります。なかよし学園は、この素晴らしい循環を日本各地の学校と共に、より確かな教育の基盤として育てていくことを目指しています。
なかよし学園プロジェクトの代表である中村雄一さんも、「これは称賛というよりも、現場で積み重ねてきた実践が、世界の教育関係者が参照できる『再現可能な知』として整理された事実です。私たちにとっては、次の改善と拡張に向けたスタートラインです」と語っています。
「支援される側」から「支援する側」へ。この転換は、子どもたちの人生の主役を取り戻し、教育が平和を「願うもの」から「つくるもの」へと変える力になると、なかよし学園は信じ続けています。
この取り組みについてもっと知りたい方は、以下の関連リンクをご覧ください。
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトについて
なかよし学園プロジェクトは、千葉県松戸市に拠点を置き、教育支援・平和/防災教育、探究学習の設計運用、そして海外(アフリカ・中東・アジア)での教育協働を事業内容としています。代表は中村雄一氏です。



