自治体が抱える紙の家屋台帳問題
家屋台帳は、建物の所有者や構造、用途、面積といった大切な情報が記録されており、固定資産税の課税や行政管理に欠かせない帳簿です。その歴史は長く、江戸時代にまで遡るほどですが、現代の自治体では「紙」の台帳を管理することに、たくさんの課題を抱えていました。
具体的には、以下のような困りごとがあったそうです。
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庁舎が手狭になり、台帳の保管スペース確保が大変
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大量の紙台帳から必要な情報を手作業で探し出すのに時間がかかる
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経年劣化で紙台帳が傷みやすく、慎重な取り扱いが必要
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水害や火災などで台帳が失われるリスクがあり、業務への影響が不安
これらの課題を解決し、業務をもっと効率的に、そして住民サービスを向上させるためには、膨大な紙台帳を電子化し、きちんと管理する体制を整えることが重要だと考えられていました。
「HOUSCAN」ってどんなサービス?
そんな自治体の悩みを解決するために生まれたのが「HOUSCAN」です。これは、エムタックとISSが業務提携を結び、エムタックが持つソフトウェア開発力と家屋評価業務に関するノウハウ、そしてISSが長年培ってきた書類保管・文書電子化の技術を組み合わせたサービスです。
HOUSCANは、紙の家屋台帳をスキャンしてPDF化するだけでなく、「HOUSTRAGE」という家屋台帳ファイリングシステムで管理するために必要な基本情報を台帳から抽出し、CSVデータとして作成します。これにより、過去のデータも新しいデータも一元的に管理できるようになり、業務効率がぐんとアップします。

小鹿野町が「HOUSCAN」に期待すること
自然豊かな埼玉県小鹿野町は、人口1万人弱ながら五つの「日本百選」を誇る魅力あふれる町です。しかし、昭和20年代から紙で管理されてきた家屋台帳には、業務効率や住民サービスの面で多くの課題がありました。
小鹿野町では、固定資産税業務のシステム化は進んでいたものの、家屋台帳だけが電子化されておらず、情報の連携は手入力に頼っていました。これにより、紛失のリスクや電子・紙の二重管理による負担が長年の課題だったのです。また、台帳の検索に時間がかかり、窓口での住民の待ち時間が発生するなど、住民サービスにも影響が出ていました。
こうした状況を受け、小鹿野町は家屋台帳の電子化を本格的に検討し、情報のリアルタイム更新、検索性の向上、窓口対応の迅速化を目指しました。税務課の業務では予算とのバランスも重要ですが、交付金制度を活用することで、このデジタル化プロジェクトが実現しました。
すでに家屋評価業務支援システム「HOUSAS」を活用している小鹿野町は、「HOUSCAN」と「HOUSTRAGE」を組み合わせることで、家屋評価業務と台帳情報の一体的デジタル連携、リアルタイムでの情報更新・閲覧が可能になることを期待しています。これにより、担当外の職員でもシステムで必要な情報を検索できるようになり、窓口対応の迅速化や住民の待ち時間削減、相談体制の強化につながると見られています。
小鹿野町の詳細情報は、公式サイトをご覧ください。
「新しい地方経済・生活環境創生交付金(デジタル実装型TYPE1)」の概要と採択結果は、こちらで確認できます。
自治体のDXを支える「HOUSAS」と「HOUSTRAGE」
今回のHOUSCANの導入には、エムタックが開発・提供する2つのシステムが深く関わっています。
HOUSAS
「HOUSAS」は、新築や増築された家屋に対する固定資産税額の評価業務をフルカバーするシステムです。使いやすさと手厚いサポートが評価され、1993年のリリース以降、利用する自治体が増え続けています。2025年10月末時点で750を超える自治体で導入されており、全国自治体の42%強に達しています。
HOUSASの詳細については、こちらをご覧ください。
HOUSTRAGE
「HOUSTRAGE」は、家屋物件の台帳情報や評価計算書、図面などを履歴も含めて一括管理できるファイリングシステムです。これにより、紙台帳を探す手間や時間を大幅に削減でき、保管スペースも不要になります。また、アクセス権の設定やアクセスログの取得によって個人情報漏洩のリスクを減らし、ペーパーレス化によって環境保護にも貢献します。
HOUSTRAGEの詳細については、こちらをご覧ください。また、HOUSTRAGEはTypeⅡ環境ラベル「AT-ECO」対象商品です。AT-ECOについてはこちらで確認できます。
今後の展開
エムタックは、これからも「HOUSCAN」ブランドのもと、ISSのような専門性の高いパートナー企業と連携し、自治体が抱える“紙の家屋台帳”に関する業務の効率化をサポートしていくとのことです。さらに、自治体の基幹業務システム標準化やHOUSASの操作性・利便性の向上を通じて家屋評価業務を効率化するだけでなく、NTTグループ各社やパートナー企業と手を取り合って、幅広い自治体DXを支援する製品やサービスを開発・提供していく予定です。



