悲劇の結末:北陸の雪に負ける
しかし先日、このイノベーションの拠点は、北陸の厳しい冬の重みに耐えきれませんでした。未来志向のスローガンや国家戦略特区という看板も、降り積もる雪の前では平等です。結果として、鳥かごは静かにつぶれてしまいました。

これは単なる設備の損壊以上の意味を持っています。少し大げさに言えば、地方における「イノベーションの敗北」の記録と言えるかもしれません。技術で負けたのではなく、季節に負けた。そして、この敗因は雪だけではありませんでした。

イノベーションのリアルな学び
正直なところ、この設備は期待したほど活用されませんでした。「タダで飛ばせるよ」と言っても、東京の企業がわざわざ実証実験に来るわけでもなく、地元の若者たちにはその価値が伝わりにくかったのです。設備を作れば自然に人が集まり、実験が回り始めるわけではない、という当たり前の現実が浮き彫りになりました。未来を語り、先進地を標榜しても、未来は思っている以上に腰が重いようです。
また、プロジェクトが始まった当初は、熱意ある人々が「地場に根付く産業を作ろう」「地方から未来を作ろう」と本気で動いていました。その熱意がある間は、設備も思想を帯びた装置として機能します。しかし、年月が経ち、人や組織、役割、そして政治が変わると、設備だけが残され、当初の思いは薄れていくものです。
撤去作業と残された教訓
雪解けを待って、私たちはこの鳥かごを自分たちの手で撤去しました。誰が作ったか分からないまま風景の一部になっていく施設が多い中で、このケージを「遺物」にはしたくなかったからです。作った以上、片付けるところまでやり遂げる。これはイノベーション以前に、人として必要な最低限のことだと考えています。

この小さな挫折から学んだことはたくさんあります。設備は作ることよりも、使われ続けることの方がずっと難しい。そして、ドローンのテクノロジーが未来を変えると言われても、現実の世界ではまず「耐雪荷重」という物理的な課題をクリアしなければならない、ということでした。
地方のイノベーションは、誰が悪いのかも分からない板挟みの中で、思ったより静かに、そして泥臭く進んでいくものなのでしょう。そして最後に残る教訓は、「看板は残る。しかしそこに込められた想いは薄まっていく」という点です。ドローン先進地を掲げる国家戦略特区ですらこうなのですから、地方創生が簡単なはずがありません。
それでも、デジタルカレッジKAGAは、この経験を爪痕として残しつつ、どこかでまた何かを作り、そしてきっとまた失敗するでしょう。そうした懲りない挑戦の連続こそが、イノベーションの本質だと信じています。
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