UN Women主催の国際介護フォーラムにイチロウが登壇!世界の介護課題とアジアのケアテック最前線をレポート

UN Women(国連女性機関)が主催する国際介護フォーラム「Korea Impact Studio on Care」が、2025年11月12日から14日にかけて韓国・ソウルで開催されました。このフォーラムには、アジア各国のスタートアップ、国際機関、政策担当者、投資家が集結し、介護に関するグローバルな課題やケアテックの未来について議論が行われました。イチロウ株式会社の代表取締役である水野友喜氏も登壇し、日本の介護課題と同社の取り組みを紹介しています。

プレゼンテーションの様子

世界が直面する介護の課題とは?

UN Womenは、介護領域における世界共通の課題として、主に以下の点を強調しました。

  • 女性に偏りがちな無償介護の負担が経済成長を妨げていること。

  • 介護が「職業」として認識されにくく、社会的な評価が低いこと。

  • 公的サービスだけでは対応が難しく、民間セクターや投資の参入が不可欠であること。

  • 投資家が介護の社会的インパクトを理解しきれておらず、資金が流れにくい現状があること。

さらに、LinkedInと国連の共同レポートでは、「介護スキルは最も評価されない一方で、AIの影響を最も受けにくい」という矛盾が示されました。UN Womenは、ケア領域の変革を目指し、「6つのR(Recognition / Reduction / Redistribution / Representation / Reward / Resourcing)」を提唱し、特にResourcing(資源投入)の重要性を訴えています。

会議の様子

アジア各国の介護市場とケアテックの最前線

アジアの高齢化は、国によって異なるステージにあり、抱える課題も多様です。

  • Super-aged(日本・韓国): 超高齢社会に突入しており、AgeTech(高齢者向けテクノロジー)が発展しています。

  • Rapidly-aging(中国・タイ): 急速に高齢化が進み、スマートケアプラットフォームが拡大していますが、ニーズとのギャップが課題です。

  • Early-stage-aging(東南アジア): 高齢化の初期段階にあり、自宅介護の需要は強いものの、公的な介護制度はまだ整備されていません。

東南アジアの介護スタートアップからは、介護士の社会的地位の低さ、離職率の高さ、教育不足が共通の課題として挙げられ、介護士の確保が最大の障壁であるという見解が共有されました。フォーラムでは、インドネシア、ベトナム、マレーシア、中国、タイ、韓国といった各国におけるスタートアップの取り組みや政策、技術潮流についても詳しく紹介されました。

例えば、急速な高齢化が進むインドネシアでは、在宅介護が8割を占める中で、AI診断や遠隔モニタリング、ケアワーカーのデジタルマッチングといったケアテックが急速に伸びています。また、韓国では超高齢化社会に迅速に対応するため、公的ケアと民間プラットフォームをリアルタイムでつなぐスマートケア基盤が整備され、AIマッチングやデータ駆動型運営、外国人ケア人材のデジタル育成が進んでいるとのことです。

イチロウの発表:日本の課題はアジアの“未来”である

水野氏は、日本が世界でも突出した超高齢社会に直面しており、介護人材不足、公的サービスの縮小、家族介護の負担集中といった深刻な課題を抱えている現状を共有しました。毎年10万人以上が介護のために離職し、年間9兆円もの経済損失が発生しているという事実は、その深刻さを物語っています。水野氏は、これらの課題が今後アジア各国でも必ず直面する「未来の共通課題」であると指摘しました。

日本で2040年には約69万人の介護人材が不足すると予測されており、増大し続ける財政負担に公的サービスが追いつかないことで、家族、特に女性に過度な負担が偏っている現状があります。この状況に対し、水野氏はイチロウの取り組みを紹介しました。具体的には、当日対応も可能な即時マッチングの仕組み、全国1.3万人の介護従事者ネットワーク、96%という高いマッチング率、そして1万3,000件を超える提供実績といった成果が挙げられました。

さらに、イチロウでは介護士の報酬を市場平均より約40%高く設定しつつ、利用者にとっては約60%低価格でサービスを提供できるモデルを構築しており、これが公的サービスの隙間を埋める持続可能な支援として機能していると述べました。

水野氏は、「日本で先行して表面化している課題は、今後アジア各国でも確実に直面するものであり、日本で蓄積された知見は他国でも活かせる可能性がある」と強調しました。特に、現場データを基盤としたAIマッチング技術、介護人材の質を高める教育・スクリーニング体系、そしてケアの品質と働きがいを同時に向上させる評価モデルの三つは、アジア各国との連携によって大きな価値を生み出す領域であると語り、各国スタートアップから高い関心が寄せられました。

フォーラムを通じて見えてきたこと

今回のフォーラムを通じて、いくつかの重要な点が明らかになりました。

  • ケアは今後、最も投資すべき成長分野として再定義されつつあること。

  • 各国のスタートアップは競合するだけでなく、連携して共通の基盤を築く段階に入っていること。

  • AIと介護は最重要テーマであり、「人のケア×データ×自動化」が世界の潮流であること。

  • 企業を巻き込んだCare-in-Business(企業によるケア支援)が加速していること。

水野氏がフォーラムの裏側で感じたことや、現場から見たアジアの介護の姿、そして世界全体の介護課題に対する危機感と希望については、水野氏のnote記事で詳しく読むことができます。

ケアは社会の中心へ。日本発スタートアップの役割に期待!

今回のUN Womenの議論を通じて、「ケアは社会の中心であり、最も投資すべき成長領域」という世界的な共通認識が確認されました。日本の課題は世界の先を進んでおり、イチロウのモデルはグローバルにも適応し得る可能性を秘めているようです。アジア各国のスタートアップと連携しながら、介護職の社会的評価を高め、ケアを持続可能な投資価値として位置づける社会の実現に向けた取り組みが進められることに期待が高まります。

イベント概要

  • 名称: Korea Impact Studio on Care / Regional Knowledge Exchange and Dialogue on Elderly Innovation & Investment in Asia

  • 主催: UN Women(国連女性機関)

  • 日程: 2025年11月12日(水)〜14日(金)

  • 場所: 韓国・ソウル

  • 目的: アジアの無償介護、ケア人材、投資、AgeTechの未来を議論する国際フォーラム

  • 参加者: アジア7カ国(インドネシア、ベトナム、マレーシア、中国、タイ、韓国、日本)のケアテックスタートアップ、国際機関、投資家、政策関係者

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