キャリア心理学が示す「中年の危機」って?

キャリア心理学では、40〜60代は「中年の危機(Midlife Crisis)」と呼ばれる時期に該当すると言われています(ユング・レビンソンなど)。この時期は、人生を振り返り、過去の選択を再評価したり、役割の変化に直面したりと、自己概念が揺らぎやすいタイミングです。つまり、心理学的に見ても、この時期は特にサポートが必要な時期なんです。
特に、就職氷河期を経験し、昭和的な価値観の中で育ち、誰にも相談しない文化の中で生きてきた「団塊ジュニア世代」の男性たちは、中年期の揺らぎが強く出やすい傾向にあると考えられています。

中高年男性の心理的揺らぎは、企業にとっての人的資本リスク
厚生労働省が発行した令和7年版労働経済の分析(上記表)によると、2015年と比較して45歳以上の中高年層の割合が増加していることが分かります。

企業において、経験と実績を積んだ中高年男性は、若手のロールモデル、経営層と現場の橋渡し役、組織文化の体現者、そして技術やノウハウの蓄積者といった、非常に重要な役割を担っています。もしこの層が心理的に不安定になってしまうと、以下のような影響が職場環境や社内風土に現れる可能性は否定できません。
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若手が将来のキャリアを描きにくくなる
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組織全体の心理的安全性が低下する
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コミュニケーションが減少し、会話が滞る
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経営層との対話が減り、認識のズレが生じる
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組織文化が重苦しくなる
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生産性が低下する
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離職リスクが増加する
つまり、中高年男性のエンゲージメントが低下することは、企業の人的資本価値を損なうことにつながると言えるでしょう。
人的資本経営は「従業員のキャリアの充実」がカギ

2026年3月期以降、有価証券報告書における人的資本情報の開示が拡大され、企業戦略と人材戦略の整合性を示すことが義務化されました。これは単に数値を記載するだけでなく、企業が「人を中心に据えた経営」へと構造転換することを求めています。
令和8年改訂の「人的資本可視化指針」では、「経営戦略と人材戦略の連動」が人的資本経営の中心に置かれています。この連動を機能させるためには、従業員の能力・意欲・働きがいの向上、心理的安全性や健康・ウェルビーイングの確保、組織文化やコミュニケーションの質の向上が不可欠です。これらはすべて、従業員一人ひとりが「どのように人生を歩み、どのようにキャリアを築くか」という「キャリアの充実度」に直結しています。

キャリアが充実すれば、能力が最大限に発揮され、意欲が高まり、働きがいが生まれることで、組織の心理的安全性やコミュニケーションも改善するでしょう。その結果、経営戦略と人材戦略の連動が初めて機能し、人的資本が真に価値を生み出すと考えられます。だからこそ、人的資本経営は「従業員のキャリア=人生の充実」に依拠する、と言えるのではないでしょうか。これは、指針の構造と完全に合致する「人間中心の経営」の考え方です。
内閣府採択「中高年男性エンゲージメント向上モデル事業」
NPO法人SKYが実施するこの事業は、中高年男性の心理状態やエンゲージメントを科学的に測定し、その結果を企業にフィードバックする、内閣府に採択されたモデル事業です。

この事業では、中高年男性が抱えやすい心理的な揺らぎやキャリア上の課題を「見える化」し、組織の状態と照らし合わせたレポートとして企業へ提供します。この取り組みは、人的資本経営の観点から以下の価値をもたらします。
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人的資本開示の重要な指標として: 経営戦略と人材戦略の連動を示す上で、中高年層のエンゲージメントや心理的安全性の把握は非常に重要な指標となります。
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組織文化の改善: 中高年層の心理的な安定は、若手の働きやすさや職場の雰囲気に直結します。彼らが安定したロールモデルとなることで、組織文化の健全化につながります。
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若手のエンゲージメント向上: 中高年層が安定していれば、若手は将来のキャリアをより具体的に描きやすくなり、組織への信頼感も高まるでしょう。
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経営層との対話促進: 中高年層は現場と経営をつなぐ重要な役割を担っています。彼らの心理的な安定は、経営層との建設的なコミュニケーションを生み出すはずです。
この事業は、中高年男性の心理的な安定を「人的資本価値の向上」に結びつける、内閣府採択のモデル調査となっています。
事業説明会の詳細はこちらから確認できます。
https://peatix.com/event/5107646

自殺予防週間に考える「中年期の心理的揺らぎ」と「企業の人的資本価値」
自殺予防週間(9月10日〜16日)は、個人のメンタルヘルスを考える期間であると同時に、企業が人的資本価値を守るための重要な機会でもあります。
心理学が示すように、40〜60代は人生の大きな転換期であり、特に中高年男性は、就職氷河期や昭和的価値観、相談しない文化といった時代背景から、心理的な揺らぎが強く出やすいと言われています。
中高年男性層の安定は、若手の未来、組織文化、経営判断、コミュニケーション、そして最終的には企業価値に直結すると考えられます。人的資本経営が重視される現代において、中高年男性への支援は、企業の持続可能性を支える最も費用対効果の高い投資となる可能性を秘めているのではないでしょうか。
関連情報として、男のセカンドキャリア塾も紹介されています。
https://mens-second-career-academy-2.jimdosite.com/



