タンザニア農村部の厳しい現実
タンザニアの農村地域では、安全な水へのアクセスが限られ、多くの住民が蓋のない不衛生なピット式トイレを使用しています。この状況は野外排泄や水源汚染を引き起こし、赤痢やコレラといった水因性疾患の蔓延につながっています。特に5歳未満の子どもたちにとって、下痢は主要な死因の一つです。
事業対象地のイデテ村は、州都から未舗装の悪路を3時間以上進んだ山間部に位置しており、雨季には車両の通行が困難になるため、行政サービスや外部からの支援が届きにくい地域です。このような環境で、多くの家庭が不衛生なトイレを使っているため、子どもたちの命が水因性感染症に脅かされています。
この事業では、LIXILの「SATOトイレ」を導入し、住民が衛生的なトイレを利用できる環境を整備します。さらに、住民自身がトイレの普及を広げていける仕組みを構築することで、持続可能な地域発展を目指します。

日本の技術「SATOトイレ」が活躍
LIXILが開発した「SATOトイレ」は、便器底部の弁が排せつ物の重みで開閉する仕組みを持っています。これにより、虫の侵入や悪臭を防ぎ、感染症のリスクを軽減する優れた製品です。タンザニアにはLIXILの現地法人があり、事業対象州内の販売店を通じて安価にSATOトイレを入手できる体制が整っています。
本事業では、学校の敷地内に男女別の個室と手洗い場を備えたトイレを建設します。LIXILのSATO事業部と連携し、学校が主体的に管理し、子どもたちが正しく使えるように衛生教育も実施します。これにより、子どもたちが正しい衛生知識と習慣を身につけ、それを継続できるような活動を目指しています。
また、住民の中からSATOトイレの設置技術を学ぶ技術者を育成し、参加型の衛生啓発ワークショップを継続的に実施します。これにより、事業終了後も住民自身の手で衛生的なSATOトイレが普及していく環境づくりを進めていきます。

事業開始を祝う式典開催
2026年6月20日、キロロ県イデテ村で水衛生環境改善事業の開始式典が執り行われました。式典には、キロロ県の県長や水省・保健省の職員、村のリーダーといった現地行政関係者と住民の皆さん、合計120名が参加し、事業の新たな門出を祝いました。
式典では事業内容が改めて共有され、公式に事業開始が宣言されました。会場では、イデテ村のマデゲ中学校の生徒たちが、衛生的なトイレを使うことの大切さを伝える劇を披露し、温かい拍手が送られました。GNJPは、この式典を新たなスタートとして、住民が主体的に衛生的な暮らしを築いていけるよう事業を推進していきます。


協力団体の熱い思い
グッドネーバーズ・ジャパン(海外事業部アフリカ2課・駐在員 平良氏)
「イデテ村は美しい自然に恵まれていますが、アクセスの困難さから、十分な支援やインフラ整備が届きにくい環境でした。しかし、住民には衛生的で尊厳とプライバシーの保たれたトイレを利用する権利があります。私たちは住民の『もっと安心して、健康に暮らしたい』という思いに寄り添い、SATOトイレの普及を通じて衛生環境の改善に取り組んでいきます。」
株式会社LIXIL SATO事業部(アフリカリーダー Samuel Langat氏)
「衛生環境を整えることは、単なるインフラ整備にとどまらず、人々の健康やジェンダーの平等、人間の尊厳、そして経済の自立を力強く支えるものです。LIXILのSATO事業部では、誰もが安全で清潔な衛生製品を手頃な価格で利用できることは基本的人権であり、公平な暮らしを実現するための強力な原動力であると信じて活動しています。イデテ村のような支援が届きにくい地域において、適切な衛生環境が整備されることは、人々の日常生活を根本から変えるほど大きなインパクトがあります。私たちはパートナーの皆さまとともに、イデテ村の人々がこれからも世代を超えて、自らの手で持続可能な衛生環境を築いていけるよう、支援を続けてまいります。」
事業概要と団体情報
事業概要
-
事業名: 安全な水供給ゼロ地域イリンガ州キロロ県における本邦企業の技術活用による水衛生環境改善事業
-
実施期間: 2026年6月~2027年3月
-
対象地: タンザニア連合共和国イリンガ州キロロ県イデテ村
-
活動内容: 公衆トイレの建設、衛生啓発ワークショップ、SATOトイレ設置技術者の育成、維持管理体制の構築
この事業は、外務省の対タンザニア国別開発協力方針やTICAD8で掲げられた目標を具体化するものです。
特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパンについて
国際組織グッドネーバーズ・インターナショナルの一員として、2004年に開設。「子どもの笑顔にあふれ、誰もが人間らしく生きられる社会」を目指し、国内外の子ども支援を行っています。
株式会社LIXIL SATO事業部について
衛生環境の整備が遅れている地域に対し、低価格で耐久性に優れたトイレや衛生製品を提供。これまでに世界59の国と地域を対象に、途上国向け簡易式トイレシステム「SATO」などを出荷し、2026年には1億300万人の衛生環境を改善する目標を達成しました。
関連リンク



