「給付付き税額控除」って何? なぜ今必要?
日本では、雇用保険(第1のセーフティネット)と生活保護(第3のセーフティネット)の間に、いわゆる「第2のセーフティネット」が長い間存在しないことが課題とされてきました。この空白のために、制度からこぼれ落ちてしまう中低所得の勤労者への支援が手薄な状態が続いています。
「給付付き税額控除」は、税金を減らしたり、直接給付したりすることで、所得の再分配を行いながら、中低所得の人がもっと働きたくなるように応援する制度です。欧米諸国ではすでに広く導入されており、格差の是正や就労促進に効果を上げています。東京財団は、この海外の成功事例を参考にしつつ、日本の状況に合わせた形で制度を導入できるよう、具体的な6つの提言をまとめました。
提言された6つのポイント
東京財団が示した制度設計には、以下の6つの柱があります。
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勤労者個人を対象とした支援
まずは社会保険に加入している勤労者個人が対象です。就労を促すため、世帯ではなく個人単位で支援が行われます。 -
年収の壁を作らないよう給付を段階的に減額
年収300万円程度までを対象とし、収入が増えても急に給付がゼロになる「年収の壁」ができないよう、段階的に給付額を減らしていく仕組みです。 -
公金受取口座を通じた給付で実施
支援は原則として「給付」という形で行われ、公金受取口座を活用することで効率的な実施を目指します。 -
自治体の所得情報とガバメント・データ・ハブ(仮称)の活用
当面は市町村が持つ所得情報を使い、将来的には企業からの情報連携を可能にする「ガバメント・データ・ハブ(仮称)」の活用を視野に入れています。 -
給付は国の事務
給付付き税額控除は国の制度として、国が責任を持って所得情報の把握から給付額の決定、振り込みまでを一元的に管理します。理想は申請不要の「プッシュ型」給付です。 -
財源は所得税制の見直しと社会保障制度改革
制度導入のための財源は、基礎控除や給与所得控除の見直し、社会保障制度改革などによって確保されます。低所得の勤労者の負担が増えないよう、給付額は調整されます。
今後のロードマップ
この提言では、1年後には市町村の所得情報と公金受取口座を活用して先行導入をスタートし、3年後には「ガバメント・データ・ハブ(仮称)」を使って企業からの所得情報を毎月連携する英国型の本格運用を目指しています。
政策提言の詳しい内容は、以下のリンクから確認できます。
提言に関わった専門家たち
今回の提言は、森信茂樹シニア政策オフィサーを筆頭に、佐藤主光上席フェロー、土居丈朗上席フェロー、小黒一正上席フェローの4名が共同で取り組みました。



東京財団ってどんなところ?

東京財団は1997年に設立された、民間・非営利・独立の政策シンクタンクです。社会のさまざまな課題について調査・研究を行い、政策提言を通じて解決策を示しています。また、国際的な視野を持つ人材の育成にも力を入れています。税や社会保障制度改革に関する研究も、その活動の一つです。



