食品ロスと子どもの食卓を繋ぐ「ステナス」って?
日本には、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスが年間48万トンもある一方で、子どもの約9人に1人、ひとり親世帯では約2人に1人が相対的貧困状態にあります。特に学校給食がない休日には、3人に1人の子どもが1日2食以下で過ごしているという、食事の機会や栄養摂取の格差が大きな課題となっています。
食品小売業では、賞味期限や消費期限が短い生鮮食品や日配品は、これまでの寄贈の仕組みでは回収から配布までに時間がかかっていたため、有効活用が難しい状況でした。
そこで、ネッスー株式会社は、株式会社ライフコーポレーション、株式会社東急ストア、そして一般社団法人サスティナブルフードチェーン協議会と協力し、食品マッチングプラットフォーム「ステナス」の実証実験を行いました。この「ステナス」は、スーパーなどで販売できなくなった生鮮食品などを、ひとり親世帯や奨学金受給学生、こども食堂などの団体へ、リアルタイムかつ安価に提供する新しい仕組みです。これにより、「今日お店で余ったものを、今日子どもの食卓へ届ける」という、食品ロス削減と社会福祉増進を両立する持続可能な食品循環モデルの社会実装を目指しています。

実証実験の概要
この実証実験は、環境省の「令和7年度 食品の消費行動に伴う食品ロス削減対策導入モデル事業」の一環として、2025年10月6日から11月30日まで行われました。
実施店舗と提供商品
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実施店舗: ライフ(竹の塚店、西蒲田店、千歳烏山店)、東急ストア(中目黒本店)
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提供商品: 店頭では販売できなくなった、賞味・消費期限が当日中の農産品(野菜・果物)、日配食品、水産品(塩干)、畜産品(加工肉)、インストアベーカリー(※水産品、畜産品、インストアベーカリーは一部店舗のみ)
提供価格
店頭価格の60~75%引きで提供されました。さらに、児童扶養手当受給者や奨学金受給者、こども食堂などの団体は、そこからさらに50%引きの「ソーシャル・プライシング」という特別な価格で商品を受け取ることができました。
従来の食品寄贈と「ステナス」の取り組みの違いは以下の通りです。

気になる実証実験の成果は?
実証期間中には428名が利用登録し、82名が実際に商品を購入しました。その結果、様々な良い成果が見られました。
食費の負担が減った!
支援対象者(※1)1人あたり月額平均で5,337円もの食費負担が軽減されたことが確認されました。これは、母子家庭の月間食費の約8.5%に相当し、実質的な可処分所得の向上に繋がっています。利用者アンケートでは、51%が「献立が1品増えた・充実した」、29%が「家で食事することが増えた」と回答。次回以降も72%が「利用したい」と答えています。


お店へのファンが増えた!
利用者の95%が「ステナス実施店舗を積極的に通常利用したい」と回答しています。社会貢献活動が、お店のファンを増やす効果にも繋がっていることが示唆されました。
高いマッチング率を達成!
プラットフォームに掲載された商品の平均42%(重量ベース)がマッチングしました。特にインストアベーカリーは86%、加工肉は66%と高いマッチング率を記録しています。店舗別では、ライフ西蒲田店が実証実験最終週に77.9%という高い成果を上げています。これは、幅広い品目が出品されたことや、視認性の高い設置場所、若年層が多い地域特性などが影響していると考えられます。

利用者の声
「ステナス」を利用した方からは、喜びの声が多数寄せられています。
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普段は高くて買えない魚やフルーツ、有機野菜などを手に入れることができ、子どもが「美味しい!」と喜んで食べてくれた。
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お得に購入できたおかげで、おかずを増やしたり、今まで買うのを控えていた他の食品にお金を使うことができ、栄養満点の食事に繋がった。
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生野菜を受け取ることが多く、子どもたちと好きなドレッシングを買い揃えるという楽しい時間が増えた。
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スーパーで献立と予算で悩む時間が減り、子どもと接する時間が増えた。
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いつもおかずが1品のみだったが、「ステナス」のおかげで2~3品作れるようになり、子どもがとても喜んでいる。
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朝食に追加するものができたり、時間がなかった時にパンなどを渡せるようになり、子どもが朝食をしっかり取れるようになった。
食品ロスへの意識もアップ!
「ステナス」利用者の78%が「食品ロスへの関心が高まった」と回答しました。「期限の短いものから購入するようになった」「買った商品を無駄にせず最後まで食べるようになった」「食べ残しが出ないように買う量を調整するようになった」など、具体的な行動の変化も見られました。

今後の課題と改善策
実証実験を通して、事業拡大に向けた課題も明らかになりました。全体のマッチング率は目標の80%には届かず42%にとどまり、商品数の拡充や需給のミスマッチ、こども食堂などの団体ニーズとの乖離が課題として挙げられています。
これらの課題を改善するため、今後は以下の取り組みを進めていく予定です。
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ラインナップの拡充: 他の店舗との連携を強化し、プラットフォーム上の商品数を増やします。
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公平な購入機会の提供: 支援対象者価格での購入に月額上限を設け、より多くの世帯に商品が行き渡る仕組みを導入します。
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サービスサイトの利便性向上: 商品情報の拡充など、利用者が使いやすいサービスサイトに改善していきます。
「ステナス」のこれから
目標数値には届かなかったものの、利用者からは前向きな反響があり、「ステナス」の社会的意義とニーズは確かなものだと感じられました。実証実験終了後も、ライフ(竹の塚店・西蒲田店)と東急ストア(中目黒本店)の3店舗ではサービスが継続されています。
また、ライフ千歳烏山店の冷蔵庫はライフEC桜新町店へ移設され、2026年3月より運用を再開しています。今後は、マッチング率約8割を記録したライフ西蒲田店の成功事例を詳しく分析し、他の店舗への展開に向けたモデル化を検討していくそうです。これらの課題改善を通じてビジネスモデルを確立し、首都圏から地方、さらには全国の小売店への横展開を目指しています。
ネッスー株式会社 代表取締役の木戸 優起氏は、「『鮮度の壁』によって廃棄せざるを得なかった生鮮食品を、新しい仕組みで、困難を抱える子どもたちへ届ける。このマッチングが成立したという事実は、食品を十分に届けるためにサプライチェーンが有さざるを得ない“ロスの発生”という負の部分を解決しながら、地域福祉を増進できる、ということを示唆しています。今回の実証実験を踏まえ、ビジネスモデルを磨き、展開地域を広げていきたいと考えています」とコメントしています。

「ステナス」の公式ウェブサイトはこちらからチェックできます。
ネッスー株式会社について
ネッスー株式会社は「生まれた環境による子どもの機会格差が存在しない社会」の実現を目指すインパクトスタートアップです。自治体や企業、個人と連携し、食や体験の格差に苦しむ子どもがいない、優しい社会の実現を目指して事業を展開しています。
※1:児童扶養手当受給世帯、奨学金受給学生、こども食堂等の団体を指します。



