子どもアドボカシー事業の普及と見えてきた課題
今回の調査によると、児童相談所を設置している82自治体のうち、なんと82.9%にあたる68自治体で子どもアドボカシー事業が実施されていることがわかりました。これは制度が全国的に広まっている証拠ですね。

しかし、その一方でいくつかの課題も浮上しています。
指導者(SVR)の不在が「質の格差」を生む?
アドボケイト(意見表明等支援員)の専門性を高め、支援の質を保つために重要な役割を果たすスーパーバイザー(SVR)。しかし、その配置率は60.3%に留まっており、約4割の自治体ではSVRが配置されていない状況です。SVRがいない自治体の半数以上(52.2%)では、継続的な研修ができていないというデータもあり、支援の質に地域差が生まれている可能性が指摘されています。

里親家庭への支援が難しい現状
アドボケイトの活動場所として、一時保護所(97.1%)や児童養護施設(82.4%)は高い割合で実施されています。しかし、里親家庭への訪問実績がある自治体はわずか6.0%に留まっています。これは、施設訪問とは異なる高度な調整が必要であることや、構造的な調整予算の不足が原因として考えられていますね。

財源の制約も大きな壁に
事業費については、約7割の自治体(66.7%)が1,000万円未満で運用していることが明らかになりました。「予算不足のため訪問回数を十分に取れない」といった現場からの切実な声も多数寄せられており、財源の制約が活動を広げる上での課題となっています。

全国子どもアドボカシー協議会からの3つの提言
これらの調査結果を受け、全国子どもアドボカシー協議会は、すべての子どもが質の高いアドボカシーを受けられる社会を目指し、以下の3つの重点施策を提言しています。
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スーパービジョン(SV)経費の国庫補助の標準化と義務化
アドボケイトの専門性と安全性を確保するSV体制の構築を、自治体の努力義務ではなく、標準的な公的予算として全額補助の対象とするべきだと提言しています。 -
家庭的養護(里親・ファミリーホーム)への展開に向けた調整予算の拡充
里親家庭などへのアドボカシーを推進するため、実費だけでなく、「コーディネート人件費」を適切に算定し、予算を拡充するよう求めています。 -
アドボケイトの専門職化に向けた適正な報酬基準の策定
移動や記録、研修といった「見えない労働」も適切に評価し、職種や地域による格差のない適正な報酬基準を国として提示することを提言しています。
協議会の取り組みと今後の展望
全国子どもアドボカシー協議会は、子どもの意見表明権が保障される社会を目指し、子どもアドボケイトの養成講座や、事業導入を支援する「子どもアドボカシースタートアップサポート」などを実施しています。また、実践者向けのテキスト「こどもアドボカシー活動の手引き」も公開していますよ。
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【こどもアドボカシー活動の手引き】
https://www.child-advocacy.org/activities/15617 -
【子どもアドボカシースタートアップサポート】
https://www.child-advocacy.org/activities/15079 -
【子どもアドボケイト(意見表明等支援員)養成講座】基礎講座
https://www.child-advocacy.org/activities/17081
今回の調査結果は、子どもアドボカシー事業が制度の普及段階から、その実施内容や運用体制をさらに充実させる段階へ移行していることを示唆しています。子どもたちの声を大切にする社会の実現に向けて、今後の動向に注目していきたいですね。
NPO法人全国子どもアドボカシー協議会の詳細はこちらをご覧ください。
https://www.child-advocacy.org/



