第一部:包摂という観点での社会課題と可能性
シンポジウムの第一部では、「包摂という観点での社会課題と可能性」に焦点を当てた講演や発表が行われました。
内閣府の坂西義史氏からは、SIPの背景と意義が説明され、シンポジウムで発表される研究成果が社会に実装されることへの期待が語られました。また、国立大学法人筑波大学大学院の久野譜也プログラムディレクター(PD)からは、これまでのSIPの活動成果と、包摂的社会の実現に向けたビジョンが共有されました。

玉川学園生徒からの訴え~わたしたちの未来会議 企画構想発表~
次世代を担う若者の視点から社会課題を考える「わたしたちの未来会議」では、玉川学園の中高生25名が展示企画「みんなの違和館」を発表しました。高校2年生の澤井柚奈さんと高校3年生の竹内優希菜さんは、この企画が「無自覚の偏見」を可視化し、社会の「あたりまえ」に疑問を投げかけるものだと説明。他校との連携や次世代に向けた展開への意欲も示しました。
また、高校3年生の金岡芽依さんと中学3年生の杜康平さんは「未来の『ふつう』を創る」と題し、知らない人への挨拶に関する実験結果をもとに、誰もが安心して会話できるイベントを提案しました。会場では、参加者も一緒に挨拶を交わす場面があり、和やかな雰囲気に包まれました。
シンポジウム会場では、「みんなの違和館」の一部が先行公開され、多くの来場者が生徒たちの説明に耳を傾けていました。

ビジネス観点で捉える包摂課題 ~PIVOT スペシャルセッション~
ビジネス映像メディアPIVOTによるスペシャルセッションでは、早稲田大学大学院の入山章栄教授、株式会社カエカの千葉佳織代表取締役、久野PDが登壇し、「ビジネス観点で捉える包摂課題」について議論しました。「成長戦略としての包摂」や「アンコンシャスバイアス」、そして「企業が打つべき次の一手」といったテーマで意見が交わされ、多様な人材が活躍することがイノベーションを生み出すという知見が共有されました。また、多様性を引き出すためには対話と心理的安全性が重要であること、制度を活用しやすい企業風土の構築が課題であると指摘されました。

第二部:「未来の“あたりまえ”を社会に実装するビジネスピッチ」
第二部では「社会課題を成長のチャンスに変える」をテーマに、「未来の“あたりまえ”を社会に実装するビジネスピッチ」が行われました。様々な企業がそれぞれの分野における社会課題解決のアイデアを提案しました。
審査員には、城南信用金庫の川本恭治相談役、前高石市長の阪口伸六氏、株式会社ワコールホールディングス社外取締役の佐藤久恵氏、Forbes JAPAN執行役員Web編集長の谷本有香氏、株式会社Labz.の涌井大輔代表取締役社長、そして玉川学園生徒代表の小嶋唯愛さん、添田友里さん、村山恵大さんが名を連ねました。



多様な社会課題へのアプローチ
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地域コミュニティ: 大和ハウス工業の中野伊吹氏からは、低速自動運転モビリティを活用し、住民の外出や交流を促すプラットフォームが紹介されました。
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子育て女性: 株式会社つくばウエルネスリサーチの塚尾晶子氏からは、妊婦や子育て中の女性の健康課題を解決するオンラインプログラム「MOM UP PARK(マムアップパーク) by 健幸スマイルスタジオ」が提案されました。
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働く女性: 株式会社emotivEの永井秀敏氏からは、PMSや更年期障害といった女性特有の健康課題にアプローチし、女性が活躍できる企業を支援するプラットフォーム「Wellpathy」が説明されました。
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ビジネスケアラー: パナソニック ホールディングスの山岡勝氏からは、介護の前段階であるフレイル予防を目指す「デジタル同居」システムが紹介され、健康寿命の延伸とビジネスケアラーの負担軽減を図るアイデアが語られました。
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金融包摂: 三菱UFJ信託銀行の石崎浩二氏からは、AI技術を用いて高齢者の金融判断能力を測定し、生涯にわたる自立的な経済活動を支援する社会経済システムが提案されました。


これらのプレゼンテーション後、セコム株式会社の目﨑祐史サブPDからは、「多様性寛容」をテーマにした研究開発「多様性に寛容な社会の実現に向けた共創システムの開発」が紹介されました。
最優秀賞は「MOM UP PARK」
審査員と来場者による投票の結果、妊婦や子育て中の女性の健康課題解決を目指すオンラインプログラム「MOM UP PARK(マムアップパーク) by 健幸スマイルスタジオ」が最も多くの票を集め、株式会社つくばウエルネスリサーチの塚尾晶子氏が表彰されました。

閉会挨拶と企画展示
最後に、一般財団法人 不動産適正取引推進機構の青木由行サブPDが閉会の挨拶を行いました。登壇者の発表を振り返り、「あたりまえをつくり直す」ためには、一人ひとりが感じる違和感を表明し、投げかけていくことが大切だと語られました。そして、技術開発と対話の重要性が強調され、今後の社会実装に向けた協力が呼びかけられました。

会場では、「みんなの違和館」の先行公開展示も行われ、玉川学園の中高生が来場者に熱心に説明する姿が見られました。また、包摂的コミュニティプラットフォームの構築に向けて開発された社会技術の一部も紹介され、研究開発者と来場者の交流の場となりました。




