技術スペシャリストとしての決断
サティス株式会社は、システムインテグレーションと地方創生支援を事業の柱としています。福村氏は、アプリケーション開発部門の本部長として、設計からプロジェクト管理、新規案件の提案まで幅広い業務を担当しています。
彼が会社に参画したのは創業とほぼ同時期で、コロナ禍の2020年に現在の代表と「何か一緒にやろう」という話から挑戦が始まりました。上場企業で働いていた経験から、自分が「ジェネラリストタイプではない」と自覚し、論理的思考に優れ、技術に特化した自身の強みを活かすため、スタートアップという新しい環境を選んだのです。
バグだらけのシステムを1ヶ月で立て直す
福村氏が特に印象深いと語るエピソードは、あるプロジェクトの危機でした。リリース1ヶ月前に、アプリケーションがバグだらけで使い物にならない状態だったことが判明したそうです。リリース期限は絶対に変えられない中、福村氏はバグの全容把握と管理体制の構築に奔走しました。チーム全員で朝から深夜まで作業を続け、福村氏自身もコードを書き、土日も返上して全力で取り組んだ結果、リリースは期限に間に合いました。この経験は、技術的な成功だけでなく、チームの一体感を高め、朝会・夕会といった習慣が定着するきっかけとなり、組織の風土を変えることにも繋がりました。
ファミコンから始まった技術者への道
福村氏の技術者としての原点は、子ども時代のファミリーコンピューターにあります。「コントローラーで右を押したら右に動く、そういう原理のところがあって」と語る彼は、小学校の頃はゲームプログラマーになるのが夢でした。しかし成長するにつれてコンピューターの可能性はゲームだけではないと気づき、システムエンジニアの道を選びました。
意外なことに、福村氏は子どもの頃「落ち着きがない」と通知表に書かれるタイプだったそうです。しかし、ファミコンに没頭する集中力は持ち合わせていました。また、数学が得意で、特に微分積分や統計が好きだったと振り返ります。「答えが出たら気持ちいいじゃないですか。そういうところですね。」と語るように、デジタルな世界で答えを導き出す快感が、今の仕事にも繋がっているようです。
3人の子どもたちの未来を思う
プライベートでは、高校2年生の長男、中学3年生の長女、小学6年生の次男の3人の父親です。休日はMリーグ(麻雀のプロリーグ)を観たり、ゲームをしたり、技術情報の収集をしたりして過ごしています。その根底には、常に「子どもたちの未来」への思いがあります。
人口減少が進み、AIや自動化が進む日本社会で、子どもたちがどう生きていくのか。この問いが、福村氏の仕事への姿勢を形作っています。「今言えることは、生活をできるだけのお金を、それをどう手に入れるかって手段のところを考えて欲しいなと。それってどうビジネスにつなげられるか、全然まだ分かってないんですけど、そこのところがすごい個人的には気になります」と、未来を見据えた視点を持っています。
地方創生とAIで、日本の未来を支える
現在、福村氏が特に力を入れているのが、地方創生におけるAI活用です。サティスは、地方自治体や大学と連携し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。人口減少が進む日本で、どのように生活品質を維持していくか。福村氏は、AIがその鍵になると考えています。
具体的には、地方の大学や県が生成AIを身につけ、業務効率化を図り、人材不足を補う取り組みを支援しています。さらに、地方からAI人材を生み出し、中央に負けない組織作りを目指す活動もサポートしています。「私たちも技術を持って支援して、お客様の活動を支援していく。それが結果、自分たちの子供の未来に繋がるなら、何かしら繋がるならいいなと思っています」と、自身の仕事が次世代に繋がることを願っています。
実績に裏打ちされた技術力と信頼性
サティスの取り組みを支えるのは、確かな技術基盤です。同社は2025年3月、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格「ISO/IEC 27001:2022 / JIS Q 27001:2023」認証を更新しました。これにより、情報資産の保護強化と業務の標準化を推進し、安全で信頼性の高いサービスを提供できる体制を整えています。
また、2025年9月にはブランドロゴをリニューアルしました。3層のレイヤーで「変革を導く力」「揺るがぬ信頼」「進化し続ける姿勢」を表現し、中央の無限大(∞)のフォルムには持続的なイノベーションへの決意が込められています。「サティスブルー」と名付けられた新カラーは、高い技術力と信頼性、そして個性豊かな革新性を象徴しています。
地方から全国へ──ResorTech EXPO 2025で初出展グランプリを受賞
サティスの地方創生への取り組みは、具体的な成果として結実しています。2025年11月、沖縄で開催された「ResorTech EXPO 2025 in Okinawa」に初出展し、AIルート最適化サービス「らくらくルートAI」をはじめとする複数のDXソリューションを紹介しました。業務効率化、自治体DX、データ活用など幅広い観点から高い評価を受け、見事「展示部門グランプリ」を受賞しました。これは、地域課題の解決に真摯に向き合う同社の姿勢が評価されたものであり、福村氏のビジョンが確かな形となった証と言えるでしょう。
関連会社との連携で広がるサービス展開
一方で、サティスの関連会社であるテックファースト株式会社も、地方創生の実現に向けて新たな一歩を踏み出しています。2025年12月、同社はScality S.A.(フランス・パリ)と共同で、法人向けクラウドストレージサービス「らくらくクラウドストレージ」を正式リリースしました。誰でも迷わず使える操作性と高度なセキュリティを両立し、企業・自治体・教育機関・医療機関におけるデータ管理を強力にサポートしています。
テックファースト株式会社も2025年4月にブランドロゴをリニューアルし、日本地図をモチーフにした線で「地域同士のつながり」と「新たな価値創造」を視覚化しています。「テックファーストグリーン」のブランドカラーには、信頼感・安定感と先進性・革新を両立させる企業理念が込められています。
これらの基盤整備とサービス拡充により、サティスグループは地方自治体や大学と連携し、実効性のある地方創生支援を展開しています。
横のつながりを求めて
最後に、福村氏はSAJへの期待を語りました。イベントやセミナーへの参加を通じて、Webに偏りがちな情報収集だけでなく、直接人と会い、多様な視点を得ることで、横のつながりや他の技術者とのつながりを作っていきたいと考えています。ファミコンや麻雀といった共通の趣味から始まる対話、技術の話だけでなく人としてのつながりが、新しい発想や協力関係を生むと信じているようです。
技術と人間味が交差する場所
「常に口角が上がっている」と同僚から評される柔らかな雰囲気と、「心がない」と言われる論理的思考。一見矛盾するこの二面性が、福村真哉という人物の魅力です。技術一筋のスペシャリストでありながら、3人の子どもたちの未来を思う父親でもあります。デジタルな0と1の世界を愛しながら、地方創生という社会的課題に取り組む福村氏の技術者の道は、日本の持続可能性という壮大なテーマへと繋がっています。SAJ40周年という節目に、このような視座を持つ人材がIT業界に存在することは、業界全体にとって大きな示唆となるでしょう。技術は目的ではなく手段であり、真の目的は「次世代が生きる社会の実現」にあることを、福村氏は3人の子どもたちの笑顔に見ているのかもしれません。
【プロフィール】
福村真哉(ふくむら・しんや)氏
サティス株式会社 第1技術本部長。上場企業でシステムエンジニアとして経験を積んだ後、2020年、コロナ禍のタイミングでサティス株式会社の立ち上げに参画。技術スペシャリストとして、民間企業や観光庁などのアプリケーション開発プロジェクトを統括。2024年10月より開発本部長に就任。システムインテグレーション事業に加え、地方創生支援にも注力。AI技術を活用した地方自治体や大学との連携を推進しています。子ども時代からのファミコン好きが高じて技術者の道へ。高校2年生、中学3年生、小学6年生の3児の父。休日はMリーグ観戦やゲーム、技術情報の収集に時間を費やします。「子どもたちの未来のために、今できることを」という信念のもと、日本社会の持続可能性に技術で貢献することを目指しています。
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