山梨県北杜市で未来の循環型まちづくり「C-BED」が始動!
ちとせグループの中核法人であるちとせ研究所は、山梨県北杜市で、未利用資源を活用した物質循環システムの社会実装に向けた実証プロジェクトを開始しました。この取り組みは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が支援する総額270億円規模の「バイオものづくり革命推進事業」の一環として進められます。
ちとせ研究所は、北杜市を「CHITOSE Bio-Evolution District(C-BED)」構想の第一歩となるパイロット拠点と位置づけ、地域で生まれる排水、食品・木質残渣、家畜排泄物といった「廃棄物」を「未利用資源」として捉え、新たな価値を生み出すことで、物質・エネルギー・経済が循環する地域モデルの創出を目指します。
「廃棄物」が「未利用資源」に大変身!C-BED構想とは?
C-BED構想は、これまで単なるコストと見なされてきた地域の有機性廃棄物を、生き物の力を借りて新たな価値ある資源へと生まれ変わらせる、次世代の循環型まちづくりです。従来の廃棄物処理が「環境へ戻すこと」を目的とし、人目につかない場所で個別に処理されてきたのに対し、C-BEDでは廃棄物を「収益を生み出す資源」と再定義し、地域全体の循環システムを構築します。

この構想では、地域から発生する多様な廃棄物を炭素、窒素、リン、水、エネルギーといった要素レベルまで分解し、あるプロセスで生まれた産物を次のプロセスの原料として活用する「多段階の生物変換」を提唱しています。特に、炭素だけでなく、生命維持に不可欠な窒素やリンまでを網羅した包括的な循環を目指しており、下水汚泥等に含まれるこれらの成分を効率的に回収し、地域の農業などへ供給することで、生命の営みに即した資源循環を実現します。
また、日々変化する天候や廃棄物の組成に対応するため、複数の生物変換技術を連携させ、循環を途切れさせない高度な全体設計が求められます。ちとせ研究所は、データに基づき地域特性を精査し、培ってきたAI技術を駆使してプロセスを最適に制御するとのことです。
生き物の力を活用した多様な技術たち
C-BED構想では、様々な生物変換技術が実装されます(廃棄物処理は試験研究目的で実施される予定です)。
-
樽型堆肥化プラント
ユニークな樽型デザインの堆肥化プラントでは、残渣や家畜排泄物が微生物の力で有機肥料になる過程をリアルタイムでモニターできます。これにより、誰もが生物変換を身近に学ぶことができるでしょう。

-
有機養液栽培(環境調和型排水処理)
通常は化学肥料で行われる水耕栽培に、微生物の力を活用。有機物を分解して植物の養分へと変換する技術です。排水を養液として使うことで、排水処理と植物栽培を同時に実現します。農作物の生産だけでなく、地域の景観に合わせた植物園のような運営も計画されています。

-
キノコ由来素材生産
バイオガス生産で生じる排水に未利用の木質バイオマスを混ぜ、キノコ菌を育成する技術です。これにより、化石資源由来の接着剤の代替となる菌糸を使った建材や、サステナブルレザーを製造します。これまで捨てられていたものから、高付加価値な素材を生み出し、グローバル市場へ供給する可能性を秘めています。

-
生分解性バイオプラスチック(PHA)発酵・精製
食品残渣や下水汚泥を発酵させて作った有機酸を原料に、PHAを作り出す菌を培養し、菌体内にPHAを蓄積させます。これらの菌を昆虫に与え、消化されずに残ったPHAを回収するというユニークな手法です。さらに、育成した昆虫自体も家畜飼料や野菜栽培のポリネーター(花粉を運ぶ昆虫)として活用する予定です。 -
バイオガス生産
食品残渣や下水汚泥などの廃棄物を発酵させ、バイオガス(メタン)を生成します。このガスからエネルギーを作り出し、前述の循環設備群の運営に活用されます。
地域と連携して世界へ広がる循環型地域モデル
この壮大な循環型まちづくりは、ちとせ研究所単独ではなく、多岐にわたるパートナーシップによって支えられています。パイロット拠点である山梨県北杜市は、豊かな自然に恵まれ、農業・畜産・林業が盛んで、多くの未利用資源が存在する地域です。ちとせ研究所は2020年に北杜市と包括連携協定を結び、地元の株式会社ファーマンと共に持続可能な農業に取り組んできました。
さらに、MATSURIに参画するプラントエンジニアリング、エネルギー、金融、物流など広範な業界の企業とも連携し、ちとせ研究所の生物変換技術と各社の専門知識を組み合わせることで、この構想を実現しています。
ちとせ研究所は、C-BEDモデルを山梨県北杜市のパイロット拠点を皮切りに、2050年までに国内外100箇所への展開を計画しています。このモデルが広がることで、これまで見過ごされてきた地域資源が価値へと変わり、新たな雇用や産業が生まれることが期待されます。

目指すのは、資源や人が特定の都市に集中する社会から脱却し、地域ごとに資源循環を基盤とした経済活動が成り立つ「分散型社会」への移行です。エネルギーや資源の多くを輸入に頼る現代社会の脆弱性を克服するため、地域内で資源と経済を循環させ、地方が自ら立ち上がる力を育むことが重要だと考えられています。
山梨県北杜市から始まったこの取り組みが、未利用資源を地域の誇りへと転換し、資源が循環する美しい景観を街のアイデンティティとする、自立したまちづくりの新たなスタンダードを実装していくことでしょう。
関連情報
-
NEDO「バイオものづくり革命推進事業」について
-
MATSURI
-
関連ニュース



