「やっかいな問題」をどう解く?サードセクターの役割
近年、NPOやNGO、協同組合といった民間の非営利・協同組織(サードセクター)が、環境問題、難民支援、教育、生活困窮者支援など、一筋縄ではいかない「やっかいな問題」の解決に力を入れています。企業や行政と協力しながら、これらの複雑な課題に取り組む彼らの活動は、社会にとって非常に重要です。
しかし、2011年の東日本大震災での活動を見ると、その活発さや効果には地域差があったことがわかります。成功している地域もあれば、そうでない地域もある。この違いの背景には、サードセクターの人々が持つ「社会ネットワーク」、つまり人と人のつながりが深く関わっているようなのです。

「ハブ」が鍵を握るネットワーク構造
大阪公立大学の菅野拓氏は、この社会ネットワークの構造を明らかにするため、ある興味深い調査を行いました。サードセクターのキーパーソン80人に対し、「東日本大震災でお世話になったり、信頼している人を最大10人教えてほしい」と尋ねたのです。この質問を繰り返すことで、459人のキーパーソンとそのつながりが可視化されました。
この調査から、サードセクターの社会ネットワークには特徴的な性質があることが判明しました。多くの人は1人からしか指名されていませんが、ごく一部の人がたくさんの人から指名されているのです。このような、多くのつながりを持つ少数の人物は「ハブ」と呼ばれます。このネットワークは、インターネットのように多数のリンクを持つ検索サイト(Googleなど)がハブとなる「スケールフリー・ネットワーク」に似ており、情報が素早く広がり、効率的な知識や資源の共有が可能となる構造特性を持っています。
つまり、ハブは問題に応じて多様な人々や組織をつなぎ、知識や資源を動員する要となる存在です。問題を明確にし、さまざまな個人や組織が持つ知識や資源を結びつけ、解決策を生み出すことを促進する役割を果たしているのですね。
いのち会議の目指す未来
私たちはつい、問題がはっきりしていて解決策が見えている課題ばかりを優先しがちです。その結果、問題自体が不明瞭で解決策もよくわからない「やっかいな問題」が置き去りにされてしまうことがあります。
「いのち会議」は、このような「やっかいな問題」を効果的に解決し続けるために、政府、民間企業、サードセクターの組織と連携し、ハブとなる人を見つけ出す方法や、ハブが活躍できる組織の条件を明らかにすることを目指しています。そして、2030年までにハブがその役割を十分に果たせる環境を整え、それを政府の政策やSDGs、さらにSDGsの後の目標に位置づけるよう、さまざまな関係者へ働きかけていく予定です。
この取り組みは、地域や立場を超えたネットワークでつながり、いのちを大切にする地域づくりを進める「いのち宣言」の具体的なアクションプランの一つです。
より詳しい情報はこちらをご覧ください。
-
いのち会議公式サイト: https://inochi-forum.org/
-
Stanford Social Innovation Review Japan: 「『やっかいな問題』の解き方としてのネットワーク:災害復興の鍵を握る「ハブ」は何をしているのか」
https://ssir-j.org/networks_as_a_way_to_solve_wicked_problems/


