日本のインパクト・エコノミー10年の歩み
今回採用されたのは、『10年の歩み、日本のインパクト・エコノミー ー事例と映像でたどるシリーズー』(Ten Years in the Making: Building Japan’s Impact Economy)と題されたケースシリーズです。
このシリーズでは、SIIFと協働先が過去10年間、日本でインパクト投資のエコシステムを築き、官民連携を進め、社会課題解決型ファイナンスを実践してきた道のりが、国内外の研究者や実務家向けにわかりやすく整理・分析されています。
詳細はこちらで確認できます。
10年の歩み、日本のインパクト・エコノミー ー事例と映像でたどるシリーズー
オックスフォード大学での活用
このケースシリーズは、2026年2月からオックスフォード大学サイード・ビジネススクールのエグゼクティブ教育プログラム『オックスフォード・インパクト投資プログラム』で、ケーススタディとして使われることが決まっています。
将来的には、この教育プログラムだけでなく、学術界や実務界における国際的な参照事例となることを目指しているとのことです。
日本の文脈から描く「インパクトエコノミー」
このケースシリーズがユニークなのは、単なるインパクト投資の事例集にとどまらない点です。日本ならではの歴史、文化、経済構造を踏まえ、『インパクト・エコノミー』をより広い視点で捉えた、とっても包括的な概念を提示しています。
江戸時代から続く『三方よし』に代表される倫理的資本主義や、災害対応で培われた市民社会の強靭さ、そして少子高齢化、地域衰退、ジェンダー不平等、気候変動といった、まさに『複雑で正解のない社会課題(Wicked Problems)』に直面する日本の現状を背景に、社会・経済・環境を同時に考える新しい経済のあり方を描いています。
SIIFは、これらの課題に対し、『実証し、学び、協働共有する』という姿勢を大切にしながら、日本のインパクト投資やインパクト・エコノミーの基盤づくりに貢献してきました。
SIIFの役割:触媒、結節点、協働者
ケースシリーズでは、SIIFが果たしてきた以下の3つの重要な役割が詳しく分析されています。
-
触媒(Catalyst)として:社会・環境に良い影響をもたらす新しい金融手法(ソーシャル・インパクト・ボンドや休眠預金活用など)をいち早く導入・実践してきました。
-
結節点(Convenor)として:金融機関、行政、企業、NPO、研究者といった多様なステークホルダーをつなぎ、GSG Impact JAPANの事務局機能などを通じて、エコシステム形成を力強く推進しています。
-
協働者(Collaborator)として:現場の実践者や地域、投資先と一緒に学びながら、その知見を共有し、言語化する活動を行っています。
世界への示唆と今後に向けて
このケースシリーズは、日本の経験を『特殊な事例』としてではなく、他の国や地域がインパクト・エコノミーを構築する際に役立つヒントとして紹介しています。
地政学的な変化やESGを巡る国際的な議論が揺れ動く現代において、協働と価値に基づいた経済の可能性を問い直す貴重な教材として活用される予定です。
SIIFはこれからも、さまざまな関係者の皆さんと協力しながら、実践と学びを繰り返すことで、社会課題解決に貢献するインパクト・エコノミーの発展に尽力していくとのことです。
一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)について
SIIFは、社会的課題の解決と経済的価値の創出を両立する『インパクト・エコノミー』の実現を目指す中間支援組織です。2013年に日本財団でインパクト投資に関する調査研究をスタートさせ、2017年に『社会的投資推進財団』として設立されました。その後、2019年には社会変革推進機構との合併を経て、現在の体制となっています。
SIIFは、インパクト投資や社会的事業の実践支援だけでなく、制度・ルール・市場環境といった社会システムそのものを変革する(システムチェンジ)ことにも取り組んでいます。GSG Impact JAPAN(インパクト投資に関する国際的ネットワークの日本国内諮問委員会)や、金融庁主導のインパクト・コンソーシアムの運営に参画するなど、社会的・経済的価値が循環する仕組みづくりを積極的に推進しています。



