「分かってもらえない」をなくすために
膠原病は症状が多様で、診断や治療が長期にわたることが少なくありません。その過程で、患者・家族と医師の間で「思いや認識のズレ」が生じやすく、「うまく伝えられない」「聞いていいのか分からない」といった戸惑いを抱える声が多く聞かれました。
事前に実施されたアンケートでは、医療現場でのコミュニケーションが「難しい」と感じる人が多数を占め、難易度は5段階中4という結果が出ています。このような背景から、イベントでは医師側の「プロフェッショナリズム」と患者側の「患者力(エンパワメント)」の両方を学び、対話を通じて相互理解を深めることを目指しました。
第1部:専門家の視点から「相互理解」を深める
「お医者さんのきもち」を知る
イベントの第1部では、当会顧問の小児科医・佐藤泰征医師が登壇。診療時間の制約や業務負担がコミュニケーションを難しくする背景にあると説明し、医師と患者の間に生まれやすい「医学的視点」と「生活者としての視点」の違い、つまり「認識のズレ」に焦点を当てて解説しました。
近年重要視されている「シェアード・デシジョン・メイキング(SDM/共同意思決定)」についても紹介され、医学的根拠を大切にしながら、患者の価値観や生活背景を尊重し、医師と患者が対等な立場で治療方針を決めていく考え方が示されました。佐藤医師は「患者さんからの言葉は、医師を成長させる宝物です」と語り、対話の積み重ねが医療を育む大切さを伝えました。
参加者からは「医師も一人の人間なのだと感じ、心の距離が縮まった」「次の診察では、もう少し自分の思いを伝えてみようと思えた」といった声が寄せられました。
「患者力(エンパワメント)」を養う
続いて登壇したメディカルソーシャルワーカーの山田純一氏は、「患者力(エンパワメント)」について、医療と患者が協働するために欠かせない視点として解説しました。患者力は「情報理解力」「意思決定力」「自己管理力(セルフマネジメント)」「コミュニケーション力」の4つの要素から成り立っています。山田氏は、「医療を“任せる”から、医療と“共同する”へ」という意識の転換が、治療の質だけでなくQOL(生活の質)の向上につながると語りました。
参加者からは「医師と患者、双方の立場が分かり、ズレが悪意ではないと気づいた」「逃げずに学び、向き合うことの大切さを感じた」といった感想が寄せられました。
第2部:夢を語る「マイレポート」の活用
第2部では、当会代表の佐久間氏と3名の患者が登壇し、コミュニケーションツール「マイレポート」の活用について座談会形式で意見交換を行いました。「マイレポート」は、症状や困りごとだけでなく、「将来やりたいこと」「大切にしている価値観」といった前向きな希望を可視化するツールです。
参加者からは「『子どもと走りたい』『復職したい』といった目標を主治医に伝えることで、治療を一緒に考えられるようになった」「病気の重さに関わらず、それぞれに“しんどさ”があると分かり、気持ちが楽になった」といった声が寄せられました。また、人生の転機(学校復帰・就労など)において、自分自身を守り、伝えるためのツールとしての有用性も改めて実感する声が聞かれました。

事務局からのメッセージ:患者は受け身ではない
設立4周年を迎えて、事務局からは「患者は決して、治療を受けるだけの受け身の存在ではない」というメッセージが発信されました。そして「医師もまた、私たちを一人の人間として、生活者として理解したいと願っています」と述べ、「どう生きたいか」「何を大切にしたいか」を語ることは、最良の治療プランを一緒に考えるための大切な情報であると強調しました。
「自分だけが悩んでいるのではないか」「こんなことを聞いてもいいのだろうか」と感じている方へ、一人で抱え込まずに、北海道小児膠原病の会が「きもち」を言葉にし、未来への希望を共有できる場所でありたいと願っています。5年目も、子どもたちが自分らしく将来の夢を描ける社会を目指し、活動を続けていくとのことです。



北海道小児膠原病の会について
北海道小児膠原病の会は、小児膠原病を抱える子どもたちとその家族が、病気を正しく学び、安心して交流できる場を提供する患者会です。オンライン交流会やLINEオープンチャットのほか、社会に向けた啓発活動にも取り組んでいます。会費はかからず、北海道に限らず全国から参加できます。患者や家族以外に、患者を支援したい方も参加可能です。



