「電話AIサービス」ってどんなもの?
多くの自治体では、平日の日中に集中する電話対応が職員さんの大きな負担になっています。特に、手続きが複雑で住民自身も状況の整理が難しい場合、職員さんが何度も聞き取りを重ねるため、どうしても対応時間が長くなりがちです。
DNPは、「誰一人取り残されない行政サービス」を目指して、デジタル技術を使った行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めています。「メタバース役所」や「DNP AI職員提供サービス」など、これまで培ってきたXRとAIの技術を活かし、今回の「電話AIサービス」も住民と行政が直接やり取りする「フロントヤード領域」の業務を高度化することを目的としています。
このサービスは、「問い合わせ完結型」を目指しており、可能な限り一度の通話で住民の疑問を解決に導きます。AIが自然な対話で質問の意図を明確にし、ぴったりの回答を提示することで、職員さんの負担を減らしつつ、住民サービスをぐっと向上させることが期待されます。
福島市での実証実験
DNPと福島市は、住民からの電話問い合わせに対応する職員の業務負担を減らし、住民サービスを向上させることを目指して、このAIサービスの実証実験を行っています。
2026年1月28日から2月25日までの期間、土日・祝日を含めて実施されるこの実験では、AIが職員さんの代わりに電話で自動応答し、問い合わせの完結を目指します。転入・転出・転居手続きの事前案内や、住民票・戸籍・印鑑証明などの証明書交付、マイナンバーカード関連手続きといった市民課所管の一部業務が対象です。
実証実験では、住民の待ち時間がどれだけ減るか、AIが質問の意図を適切に理解して分かりやすく案内できるかなどを検証し、電話対応時間の短縮効果や実運用時の有効性、課題を確認していきます。問い合わせ完結率や市民満足度を指標として効果を検証し、持続可能な電話対応体制の構築につなげていくとのことです。
「電話AIサービス」の主な特長
この電話AIサービスには、いくつかの魅力的な特長があります。
- AIが住民の意図を聞き取り、最適な回答に導く
住民の発話内容をAIが解析し、自然な会話を通じて質問を整理。届け出手続きや窓口情報などを提示し、通話の中で問い合わせを完結させます。 - 対話シナリオの独自設計が不要で導入が容易
従来のAI応答システムで必要だった対話シナリオの設計は不要です。自治体はFAQ(よくある質問)や公式Webサイトの情報を共有するだけで、すぐに運用準備ができます。これにより、短期間での導入と運用負荷の軽減が可能です。 - 多言語で24時間・365日対応
AIが24時間365日稼働するので、開庁時間外でも住民の問い合わせに対応できます。日本語だけでなく、英語・中国語・韓国語など多言語に対応し、住民の発話内容から言語を判定して最適な案内を行います。 - 安定した一次対応による対応品質の向上
AIが常に一定のトーンで丁寧に一次対応することで、内容の行き違いや感情的なやり取りを抑え、対応が複雑化・長期化するのを防ぎます。これにより、職員の対応負担を減らしつつ、住民には分かりやすく一貫性のある案内が提供されます。
価格
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初期導入費:500万円~(税別)
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月額運用費:50万円~(税別)
本サービスの詳細はこちらをご覧ください。
今後の展開
DNPは今後、通話データや問い合わせ傾向を分析し、データ管理などの「バックヤード領域」の業務とも連携することで、「行かない役所」の実現に向けた包括的なDX支援モデルを展開していく予定です。また、自治体だけでなく企業への活用拡大も見据え、AIの対話性能の向上や音声認識精度の強化を通じて、さまざまな業務課題の解決とサービス高度化に貢献していくことでしょう。
DNPのXRコミュニケーション®事業については、こちらで詳しく紹介されています。DNPは、リアルとバーチャルを行き来できる新しい体験と経済圏を創出する「XRコミュニケーション事業」を2021年から展開しており、この電話AIサービスもその取り組みの一環です。DNP独自の「P&I」(印刷と情報)の強みとXR技術を活かし、多くのパートナーとともに多様な価値を創出していくとしています。



