ふるさと納税制度見直しに地域から危機感!
政府・与党で検討されているふるさと納税制度の見直し(募集費用の上限引き下げ、高額所得者の控除上限設定など)に対し、一般社団法人ふるさと納税地域商社会は、地域経済への影響を測る緊急アンケートを実施しました。この調査には全国41都道府県の返礼品提供事業者1,000社が回答しています。

3社に1社が「事業縮小・廃業」を懸念
アンケート結果によると、制度変更が続いた場合、35.5%の事業者が「廃業・倒産の可能性がある」(6.9%)または「事業縮小の可能性がある」(28.6%)と回答し、事業存続に危機感を抱いていることがわかりました。

また、雇用への影響については、29.5%が「解雇・雇用調整の可能性が高い」(10.5%)または「可能性がある」(19%)と回答しており、地域の雇用維持機能が損なわれる恐れがあることが指摘されています。

ふるさと納税は地域事業者の大切な支え
なぜこれほど深刻な影響が懸念されるのでしょうか? その背景には、ふるさと納税が地域事業者の経営にとって「大きな支え」となっている実態があります。
ふるさと納税の売上が経営にどれほど重要かという質問に対し、43.1%の事業者が「非常に重要」(27.5%)または「重要」(15.6%)と回答しました。約半数の事業者が、ふるさと納税を経営の重要な基盤と考えていることがわかります。

さらに、ふるさと納税が年間売上に占める比率を見ると、33.6%の事業者が「5%以上」と回答。中には30%以上をふるさと納税に依存している事業者も9.5%存在します。この売上が失われることは、多くの事業者にとって経営に致命的な打撃となるでしょう。

影響を受けるのは地域の小規模事業者と一次産業
今回のアンケート回答者の属性を見ると、ふるさと納税制度が地方の小規模な事業者に深く浸透している実態が見えてきます。
従業員数20名以下の小規模事業者が全体の73.7%を占めており、制度変更による事務負担増や売上減の影響を吸収する体力が乏しい層が中心であることがわかります。

業種別では、農業・畜産・水産が25%以上、食品加工を含めると40%強を占めており、地域の「食」を支える事業者が大きな割合を占めています。
国への5つの要望と制度への懸念
一般社団法人ふるさと納税地域商社会は、これらの調査結果と地方の実情を踏まえ、国に対し以下の5項目を強く求めています。
- 地方・事業者への影響評価と丁寧な合意形成
- 募集費用の「一律圧縮」に反対し、地域産業を守る設計へ
- 制度趣旨に反する返礼品の是正は、狙い撃ちで行うこと
- 高額所得者への控除上限は、制度全体の縮小につなげないこと
- 制度の安定運用(頻繁な変更の抑制)と十分な経過措置
特に、今回の改革案にある「経費上限4割」については、人件費や材料費が高騰する現状では「返礼品の調達費」以外に削減の余地がなく、地域の生産者を圧迫する懸念があると指摘されています。これにより返礼品の魅力が低下し、市場が大幅に縮小することで、地方創生や地域産業、雇用を守るという本来の目的と逆行する結果になりかねません。
また、「寄附額の50%しか地域に残らない」という一部の認識に対し、実際には返礼品の生産・加工、送料、中間事業者の活動などを総合的に捉えれば、寄附額の8割以上が地域経済に還流していると説明しています。

地域事業者の切実な声
アンケートには、度重なる制度変更への疲弊や事業存続への不安、地方創生理念と逆行する動きへの憤りなど、地域事業者からの切実なコメントが多数寄せられました。
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「毎年コロコロと制度が変わり、設備投資も事業計画も立てられない。もう少し落ち着いた制度であってほしい」
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「ふるさと納税での収入を見込んで設備投資を行っている。制度が変わると回収できず、廃業の恐れが大いにある」
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「冷凍庫建設、作業場の拡張、人の採用など、何年もかけて取り組んでいる。1年単位での急な変更には対応が難しい」
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「雇用対策の一部を担っている。縮小されれば、雇用に影響が出てくるのが怖い」
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「ふるさと納税は地方にとって大事な財源であります。また、商品の発信力や開発力が弱まると懸念があります。」
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「制度のおかげで、農家からの買い付け価格が高値で安定し、今まで流通しにくかった『訳あり品』も買い付けることができている。農業主体の地方には重要な制度」
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「ふるさと納税は、今となってはなくてはならない制度。これ以上の規模縮小は、地方にとって大変にしんどい」
これらの声は、ふるさと納税制度が地域経済や雇用、さらには地方創生においてどれほど重要な役割を担っているかを物語っています。
一般社団法人ふるさと納税地域商社会は、ふるさと納税制度の健全な運用と啓蒙活動を通じて「ふるさと納税で地方を元気に!」を掲げています。制度の趣旨である地方創生・地域産業振興の観点から、拙速な制度縮小につながる改正に懸念を表明し、国に対して慎重な議論と対応を求めています。
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