まさか日本で?12歳少女が人身取引の被害、17歳少年が転落死。私たちの身近にある「見えない児童労働」の現状と対策を考える!

児童労働に関するイメージ画像

日本にもある「見えない児童労働」の現実

最近、日本国内で痛ましい出来事が相次いで報じられました。2025年9月30日には静岡県焼津市で17歳の少年が工事現場で転落死する事故が発生。これは労災事故ですが、高所での危険作業は国際条約上の「児童労働」に該当します。また、同年11月6日の報道では、東京都文京区のマッサージ店で12歳のタイ国籍の少女を働かせたとして容疑者が逮捕されました。15歳未満の就労は法律で禁止されており、さらに性的サービスを伴う業務に従事させていたことは、国際条約上「最悪の形態の児童労働」にあたります。

認定NPO法人ACEは、このような児童労働が深刻な子どもの権利侵害であるにもかかわらず、社会課題として十分に認識されておらず、対策も不十分であると指摘しています。貧困や家庭の事情、学校や家庭での孤立、SNSの発展を背景に、子どもたちが「闇アルバイト」で犯罪に巻き込まれたり、騙されて強制的に働かされたり、監禁・搾取の被害に遭ったりする「見えにくい児童労働」が静かに広がっていることに警鐘を鳴らしています。

日本はILO第138号条約(最低就業年齢)および第182号条約(最悪の形態の児童労働)を批准し、児童労働の撤廃を国際的に約束しています。しかし、国内での実態把握が不十分で、国際条約を受け日本国内の「児童労働」を定義する法整備もありません。そのため、児童労働を特定できず、統計的なデータもない状況が続いています。ACEは、日本国内で児童労働が発生していることは明らかであり、「存在しないもの」とするのではなく、法制度、調査、政策面から現実に即した対応を早急に進める必要があると訴えています。

児童労働撤廃に向けた5つの提言

ACEは、日本における児童労働の現状を改善するため、以下の5つの提言を行っています。

1. 児童労働の法的な定義づけとデータ整備

日本では、児童労働を明確に定義した国内法上の文書が存在せず、これが実態把握と是正を妨げる大きな要因となっています。SDGs目標8.7の「児童労働者(5~17歳)の割合と数」について、日本政府は現在「データなし」と報告しています。ACEは、法的定義を明確化し、労働基準法違反の把握を「年少者の人数・性別」単位で改善するよう求めています。行政・学術機関・市民社会が連携し、定期的な実態調査を制度化することが不可欠です。

2. 児童労働撤廃のための省庁横断的な連絡会議の発足

児童労働は貧困、教育機会の欠如、家庭環境、外国人労働、犯罪被害など、多岐にわたる分野が複雑に関係する社会課題です。そのため、厚生労働省、外務省、こども家庭庁、文部科学省、経済産業省、農林水産省、法務省、警察庁など、複数省庁が連携する「児童労働対策連絡会議」の設置が求められています。この会議は、政策・調査・教育・企業行動の各側面から総合的に対策を検討し、情報共有や課題整理、予算調整を行う司令塔としての役割が期待されます。

3. 児童労働撤廃のための国家行動計画(NAP)の策定

ILO第182号条約は、締約国に対し「最悪の形態の児童労働を優先的に撤廃するための行動計画を作成し、実施すること」を義務づけています。日本政府はこの国際的義務を履行するため、児童労働撤廃に特化した国家行動計画(NAP)を策定し、法制度の整備、実施体制の確立、十分な予算措置を講じる必要があります。既存の「人身取引対策行動計画」や「ビジネスと人権国内行動計画」、「子どもの権利に関する施策方針」と整合させながら、国内外双方を視野に入れた具体的な行動目標を設定すべきです。

4. 社会全体での啓発と教育

児童労働の防止には、法制度だけでなく、社会全体の理解と意識の変化が不可欠です。子ども自身が権利を理解し、危険な就労から自身を守る力を育むことや、教育現場、保護者、地域社会が児童労働を認識し、予防や介入の知識を持つ人を増やす必要があります。企業においては、雇用側の責任として、サプライチェーンやバリューチェーンを含め児童労働に加担することのないよう、人権デュー・ディリジェンスを実施し、未成年者の就労に関する教育・社内研修・取引先への啓発を推進することが重要です。政府は、市民社会・教育機関・企業と協働し、児童労働を「社会全体」で防ぐ行動をとるべきだと提言しています。

5. 根本原因へのアプローチと支援体制の強化

児童労働は単なる労働問題ではなく、貧困、教育格差、社会的孤立、外国ルーツの子どもへの支援不足など、複合的な要因が背景にあります。そのため、児童労働の予防と撤廃には、これらの根本原因に取り組む包括的な社会政策が不可欠です。特に、自治体単位での経済的困難を抱える家庭への生活支援や学習支援、若者の職業訓練・就労支援、外国籍・非正規滞在の子どもへの教育機会保障、児童福祉制度の早期介入など、「児童労働が生まれない環境を整える」ための長期的な投資が求められます。こども家庭庁を中心に、地方自治体やNPOと連携した支援ネットワークを拡充し、子どもと家庭の双方に届くセーフティネットを確立することが提言されています。

認定NPO法人ACEの活動

ACE(エース)は、子どもの権利保護および、児童労働の撤廃と予防に取り組むNGOです。ガーナのカカオ生産地で危険な労働から子どもたちを守り、日本で児童労働の問題を伝える活動のほか、日本政府、ガーナ政府、日本のチョコレート企業への提言活動を行っています。1997年に学生5人で設立され、2023年3月には第6回ジャパンSDGsアワードにおいて、国際NGOとして初のSDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞を受賞しています。

ACEは、児童労働の再発防止に関心を持つ人々のために、以下の参考資料や啓発資料を作成しています。

より詳しい情報は、以下の「日本の児童労働」のページをご覧ください。
日本の児童労働: https://acejapan.org/activity/japan/childlabour

児童労働は、国際的にも国内的にも「ゼロをめざすべき課題」です。政府・企業・市民社会が協働して、子どもの命が守られ、経済的な搾取や、教育や健康・発達に有害な労働から守られる社会を実現することが強く求められています。

認定NPO法人ACEのウェブサイト: https://acejapan.org/

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