経済産業省がPHR社会実装加速イベントを開催!大阪・関西万博での成果と未来を語り合う

PHR社会実装加速化事業ってどんなこと?

この事業は、個人の健康・医療データであるPHRを社会で広く活用するための新しいサービスを作り、実際に使えるようにすることを目指しています。経済産業省が手掛ける複数の事業(「令和5年度補正PHR社会実装加速化事業」「令和6年度補正予防・健康づくり分野における先端技術を活用した社会課題解決サービス開発促進事業」「令和7年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業」)が連携して進められています。

特に注目なのは、PHRを事業者間で連携させるための情報連携基盤「PHR CYCLE」を活用している点です。これにより、PHR事業者とサービス事業者が協力して、一人ひとりに合ったパーソナライズされたサービスを生み出しています。

2025年の大阪・関西万博では、食事、運動、睡眠、ライフスタイルといった日々の生活に関わるPHRサービスが国民に体験提供され、その効果が実証されました。さらに、介護や多職種連携といった幅広い分野でも、PHRサービスの社会実装に向けた取り組みが続けられています。

実証事業の成果と課題を共有

イベントでは、万博PHR実証と介護/多職種PHR実証に参加した事業者から、それぞれの実証内容や今後の社会実装に向けた進捗が報告されました。

万博PHR実証の参加事業者からは、大阪・関西万博での展示や体験提供の成果が発表され、食事・睡眠・運動・暮らしといった多様な生活領域でのPHRを活用したパーソナライズドサービスの実証結果や、サービス提供の手応えが共有されました。また、介護/多職種PHR実証の参加事業者からは、社会実装を検討する中で直面した課題感が共有され、参加者にとってPHR事業への期待感と、事業化の課題を乗り越えるためのヒントを得る貴重な機会となりました。

PHRサービスの事業化を考える基調講演

住友生命保険相互会社の常務執行役員である藤本宏樹氏からは、PHRサービスの事業化における課題と、それを突破するためのヒントについて基調講演がありました。

基調講演の様子

藤本氏は、健康増進型保険「Vitality」の日本展開やWaaS(Well-being as a Service)構想の推進など、保険の枠を超えた価値創出に取り組んできた自身の経験をもとに、今後のヘルスケアビジネスの展望について語りました。参加事業者の方々にとっては、自社サービスの事業化を見つめ直す良いきっかけになったことでしょう。

PHRサービス普及のためのパネルディスカッション

イベント中盤では、藤本氏に加え、経済産業省の明石氏、阪急阪神ホールディングス株式会社の下瀬氏、一般社団法人テレメディーズの谷田部氏、TOPPAN株式会社の松尾氏、Arteryex株式会社の後藤氏が登壇し、「自社のPHR事業を推進するために必要なこととは」というテーマでパネルディスカッションが行われました。

パネルディスカッションの様子

マネタイズの課題

前半では、事業化の大きな課題である「マネタイズ(収益化)」について議論されました。一次予防の重要性は理解されつつも、診療報酬の獲得や規模拡大に必要なエビデンスづくりには時間とコストがかかるため、短期間で収益とコストのバランスを取るのが難しいという点が論点となりました。収益化が軌道に乗るまでの期間をどう支えるか、そして「誰が費用を負担するのか」を明確にしたビジネス設計の必要性が共有されました。

また、一般のユーザーや企業が費用を負担しにくい現状を踏まえ、健康経営の推進といった動きも参考にしつつ、toG(行政・自治体向け)も視野に入れた展開が示唆されました。さらに、医療アクセス格差や診療の質のばらつきに対し、PHRのポータビリティ(持ち運びやすさ)と医療者間での共有を軸に、新しい市場を切り開く可能性も提示されました。国の長期的な支援も活用しながら、ビジネスモデルを磨き込むことの重要性が議論されました。

ディスカッションの様子

サービスの「価値提供」

後半では、創出したサービスの「価値提供」について議論が深められました。PHRサービスが影響を与える受益者や関係者は多岐にわたるため、それぞれのメリット・デメリットを考慮したエコシステム(生態系)の設定が不可欠であるという意見が出され、PoC(概念実証)やステークホルダーへのヒアリングの重要性が再確認されました。海外の事例も参考にしながら、サービスの利用者負担と提供価値のバランスを保ったビジネスデザインを検討し続ける必要があることが示唆されました。

2つのツールを使ったワークショップ

現地参加者向けには、本事業で開発されたAIツールとPHR CYCLEの開発者ポータルをテーマにした2つのワークショップが実施されました。

AIツールを使ったワークショップでは、パネルディスカッションでも重要性が語られたステークホルダーへのヒアリングをサポートするAIツールが紹介され、参加者が実際に体験しました。PHRサービスを持続可能な事業として展開するには、「誰に届けるか」「どう収益化するか」「どのくらいの市場があるか」を早期に整理することがとても重要です。このAIツールは、その思考を支援するために以下の3つの機能を備えています。

  1. ユーザーインタビュー(ユーザー像の明確化)
  2. ビジネスモデル構築(収益構造の整理)
  3. 市場規模推定

参加者はツールを操作しながら、PHRサービスのビジネス化に向けた思考プロセスを体験する貴重な機会となりました。

開発者ポータルを使ったワークショップでは、PHR CYCLE連携の開発を効率化・標準化するために整備された開発者向けポータルの概要紹介とデモが行われました。API仕様の閲覧・検索や実際の動作確認(Try it機能)が可能な環境が紹介され、PHRサービス開発の促進に向けた理解が深まりました。

ワークショップ参加者の集合写真

EXPO-PHR運営事務局は、今回のイベントで得られた知見やネットワークを活かして、PHR事業関係者と協力しながら、PHRの社会実装をさらに加速させ、「自然と健康になれる社会」の実現に向けて、これからも積極的に取り組んでいくとのことです。

関連記事

  1. 茨城県下妻市が子育て世代を全力応援!妊娠から就学前まで「切れ目ない支援」で安心の子育てライフを

  2. 宮城県初の快挙!「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」が『NIPPON防災資産』優良認定!中高生語り部100人が未来へつなぐ命のバトン

  3. 総務省で「日本を動かす」チャンス!民間出身の「総合職」を公募する『ソーシャルインパクト採用プロジェクト』がスタート

  4. 日本のスマート水道メーター市場、2034年までに急成長の予測!最新レポートで水管理の未来が見える

  5. 日本発の宇宙ビジネスがアフリカの社会課題を解決へ!トップランナー4団体が共創コンソーシアムを設立

  6. 不登校は「幸せを耕す時間」!ママの心を孤独にしないファミラボの伴走支援とは?