大阪市とテックタッチ、AIで「見過ごされがちな市民ニーズ」をキャッチ!
大阪市とテックタッチ株式会社は、共同で実施した実証実験の結果を発表しました。この実験では、生成AI(AIエージェント)を活用して、SNS上の「見過ごされがちな市民ニーズ」を可視化し、データに基づいた政策立案(EBPM)に役立てることを目指しました。

実証の背景
これまで、行政機関が市民の意見を集める方法は、年に一度のアンケートや問い合わせフォームが主でした。そのため、日々の小さな困りごとなど、なかなか表面に出てこないニーズを継続的に把握するのは難しいという課題があったんです。人口減少や行政のリソースが限られる中で、大阪市とテックタッチは2025年9月に連携協定を結び、テクノロジーを使ってこれらの課題を解決しようと、今回の実証実験を進めてきました。
どんなことを試したの?
今回の実証実験では、SNS(X)に投稿された全国の妊娠・子育て中の方と推定される1,000件の投稿を対象に、テックタッチが提供する意思決定支援AI「AI Central Voice」を使って市民の声を分析しました。
具体的には、以下の3つの検証が行われました。
- AIエージェントによる多角的な市民ニーズの抽出:従来のアンケートでは見えにくい「困りごと」や「期待」をAIが自動で抽出し、潜在的なニーズを可視化しました。
- 施策立案の「素案(たたき台)」作成支援:AIが抽出したニーズをもとに、施策の方向性や具体的な案を提示。これにより、職員が施策検討にかかる時間を減らし、より質の高い議論ができるか検証しました。
- デジタル統括室職員による実用性評価:AIの分析結果や施策案について、大阪市デジタル統括室の職員がアンケートで評価を行いました。
実証から見えてきた論点(一例:産前産後ケア)
分析の結果、SNS(X)の投稿は「親カテゴリ」「子カテゴリ」「感情」などの軸で整理され、妊娠・子育てにおける具体的な課題感が見えてきました。AIは、それぞれの課題に対して「すぐにやれる施策」と「抜本的に変えるための施策」のアイデアも示しています。
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日常生活行動(食事準備・調理行動)
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課題感:産後の体力・時間不足で食事の準備や後片付けが大変。惣菜や宅食に頼りがち。偏食やアレルギー対応でさらに負担が増えることも。
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すぐにやれる施策:地域の飲食店やNPOと連携し、安価な宅食・惣菜の情報提供や利用補助の試行、作り置き・下処理支援の実施。
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抜本的に変えるための施策:産前産後の食事支援を条例や助成で制度化し、デジタル申請・情報提供プラットフォームを整備し、継続的に改善していく。
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夫婦・家族関係場面(例:パートナー育児場面/家族サポート場面)
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課題感:家庭内の役割分担や支援の有無が、ワンオペ化や心理的負担につながりやすい。
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すぐにやれる施策:食事支援などと合わせて、家庭内分担を促す情報発信や、親族・地域支援につなぐ導線を整備する。
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妊娠・出産場面(例:産後回復場面)
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課題感:産後回復期の体調不良が日常の負担や支援ニーズに直結するため、見過ごされがちな傾向がある。
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すぐにやれる施策:助産師・保健師による訪問やオンライン相談を拡充し、父親向けの具体的なケア情報提供も強化する。
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職員アンケートでわかったこと
今回の実証実験の推進部署であるデジタル統括室の職員を対象にアンケートを実施したところ、以下のような成果が見られました。
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ソーシャルリスニングの行政判断への活用可能性:職員の85%が、SNSやWeb上のデータを「市民の意見」として役立つと回答しました。

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施策評価・改善への気づき:63.3%の職員が、AIが提示した分析結果を「少しの手直しで根拠資料として使える」と評価。AIが情報を整理し、職員が最終的な解釈と活用を行う、新しい協働の形が見えてきました。

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活用範囲について:54%の職員が、分析結果を「本市の事業で幅広く活用できる」と回答しました。

フリーコメントでは、「生の声を効率的に拾える」「潜在的ニーズを抽出できる」といった声がある一方で、「AIの処理の不透明さ」「SNS発信者の限定性」を課題と捉える意見もありました。
導入・運用における留意事項
今回の実証を通じて、生成AIを行政実務で使う上での課題も明らかになりました。
- 情報の不正確性への対策:AIの誤情報を前提とし、最終判断は必ず人間が行う体制を徹底すること。
- データの代表性の確保:SNSデータは「一部の声」であることを認識し、統計データや既存アンケート結果などと組み合わせて多角的に分析すること。
- 職員のリテラシー向上:出力結果の妥当性を検証するためのデータリテラシーを習得すること。
この実証実験によって、SNSやWeb上の「市民の声」をAIで可視化・整理することで、これまでの調査では気づけなかった新しいヒントが得られる可能性が確認されました。AIによる大幅な業務効率化はもちろん、経験を重視する職員も今回の結果を「意思決定の裏付けとして活用できる」と評価しており、AIと人が協力する行政実務の新しいモデルが示された形です。
「AI Central Voice」と「テックタッチ」について
今回の実証実験で使われた「AI Central Voice」は、テックタッチ株式会社が提供するAI分析プラットフォームです。企業や組織に蓄積された顧客や利用者の声を整理・構造化し、分析可能な形で可視化します。
AI Central Voiceについて詳しくはこちら:
https://aicentralapp.com
テックタッチ株式会社は、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)「テックタッチ」を提供しており、国内シェアNo.1を誇ります。大手企業や官公庁など、1,000万人を超えるユーザーに利用されています。近年では、AI活用機能「Techtouch AI Hub」も追加し、様々な業界のDXやAI活用を支援しています。
テックタッチについて詳しくはこちら:
https://techtouch.jp/
今回の共同調査研究報告書は、以下のURLからダウンロードできます。
https://techtouch.jp/resources/ebook_ebpm-osaka/



