ディープテックが直面する「死の谷」
現在、日本政府は「新技術立国」を掲げ、フュージョン、バイオ、量子などの先端技術(ディープテック)を国家戦略の中核に据えています。しかし、これらの技術は実用化までに多額の資金と長期的な支援が必要となるため、事業化直前でリソースが途絶える「死の谷」という構造的な課題に直面しがちです。研究成果は着実に生まれているものの、それを社会実装へと橋渡しする資本や専門人材が不足しているのが現状です。
「慶應義塾イノベサロン」で社会実装への道筋を探る
この課題を乗り越えるため、「慶應義塾イノベサロン」では、最先端の研究開発現場と産業政策が描く将来像、そして資本や公的研究機関を大学という開かれた場でつなぎます。ディープテックが生み出す長期的な価値や社会的インパクトをどのように見出し、支えていくべきかという観点から、社会実装への具体的な道筋を議論する場となります。
短期的な収益性にとどまらない長期視点の資本形成と、研究・政策との戦略的な連携のあり方を深く掘り下げ、ディープテックを単なる研究成果で終わらせず、社会を変える産業へと発展させることを目指しています。
この取り組みは、慶應義塾大学のビジョン「未来のコモンセンスをつくる研究大学」の実現に向け、慶應義塾大学イノベーション推進本部が主催し、日本学術振興会「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の一環として実施されます。
2026年度の注目テーマとプログラム
「慶應義塾イノベサロン」は、特定の先端領域をテーマに、社会実装を目指す研究者、長期資金を担う投資家、そして政策関係者らが一堂に会する対話の場です。2026年度は「フュージョン(核融合)」「マイクロバイオーム」「量子コンピューター」といった領域に注目し、以下のプログラムが予定されています。
| 回数 | 日程 | テーマ・登壇者 |
|---|---|---|
| #06 | 4月27日(月) | Why Deep Tech? 不確実性にインパクトで挑む ・春名貴之氏(株式会社かんぽ生命保険 専務執行役) ・山岸広太郎氏(慶應義塾 副理事) |
| #07 | 5月22日(金) | Why Fusion? 新たなエネルギーのインパクト ・田口昂哉氏(株式会社Helical Fusion 共同創業者/代表取締役CEO) ・友野直人氏(株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ プリンシパル) |
| #08 | 6月5日(金) 17:30-19:30 | Why Therapeutics? 新たな医療のインパクト ・中原拓氏(メタジェンセラピューティクス株式会社 代表取締役社長CEO) ・内田隆氏(国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)創薬エコシステム推進事業部長) |
| #09 | 7月10日又は17日(金) 17:30-19:00 | Why Systems? 新たな社会のデザイン ・藤田智行氏(株式会社日本政策投資銀行 イノベーション投資部 調査役) ・浮辺雅宏氏(国立研究開発法人産業技術総合研究所 量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター 審議役) |
※日程や演題には変更の可能性があります。
開催概要
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主催: 慶應義塾大学 イノベーション推進本部
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期間: 2026年4月27日(月)~7月(最終回日程は調整中)
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開催形式: ハイブリッド開催(会場参加 + オンライン配信:Zoom)
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会場: 慶應義塾大学 三田キャンパス 北別館(東京都港区三田1-4-65)
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参加費: 無料
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対象: ディープテック領域への投資や事業開発、支援に関心のある資金提供者(金融機関、事業会社、財団等)、自身の研究成果の社会実装や起業に関心のある研究者、先端技術による社会課題解決やインパクト投資に関心のある方
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定員: 会場参加 各回50名(先着順・要事前申込)
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初回申込: 下記Peatixよりお申し込みください。
慶應義塾イノベサロン 詳細・お申込
慶應義塾 副理事の山岸広太郎氏は、「大学の知見を社会へ、そして社会の活力を再び大学へ。私たちが推進するこの『知の循環』を、ディープテックの社会実装という形で結実させたい。起業家・投資家・研究者が一堂に会する本サロンが、新たな産業の羅針盤となることを期待しています」とコメントしています。
慶應義塾大学イノベーション推進本部は、研究成果の社会実装を推進するため、大学発スタートアップ支援、知的資産の戦略的活用・マネジメント、起業家志向の人材育成などに取り組んでいます。特にディープテック領域では、技術シーズの発掘から事業化支援、資金提供者との接続、エコシステム形成までを一体的に推進しているとのことです。


