宇宙を入口に、地域の既存産業が未来を描く!
2026年2月6日、福岡県久留米市で、株式会社Space Food Lab.が主催する「FUKUOKA SPACE LIVING FRONTIER MEETUP」が開催されました。このミートアップイベントは、宇宙産業の専門家や先端技術を集めることを主な目的とはしていません。むしろ、食品、製造、金融、教育といった、これまで宇宙分野とは直接的な関わりがなかった地域の既存産業が、「宇宙」というテーマをきっかけに、自社の技術や資源を未来志向で捉え直し、新たな事業の可能性を探る場となりました。
当日は、地元企業や学生、金融機関、教育・研究関係者など約90名が参加し、そのほとんどが宇宙分野の経験がない方々でした。イベントは専門知識を前提としない設計となっており、参加者同士が「もし自社の強みを未来の生活環境で活かすとしたらどうなるか」という視点で自由に話し合い、新しいビジネスチャンスを見つけるきっかけとなりました。

「宇宙」を共通言語に、地域の未来を考える
宇宙ビジネスというと、ロケットや衛星といった特定分野のイメージが強いかもしれません。しかし、今後の有人宇宙開発が進むにつれて、「食・住・衣・娯楽」といった日常生活に関わる産業の知見が不可欠になると言われています。今回のイベントでは、宇宙を単なる最先端技術としてではなく、「未来の生活環境を想定するための仮想フィールド」として捉えることで、地域産業が新しい視点を得る機会を提供しました。
この取り組みの大きな特徴は、「宇宙」を特定の産業振興テーマとして扱うのではなく、地域の既存産業が未来を考えるための共通言語や思考のツールとして活用している点です。宇宙という非日常的なテーマを設定することで、参加企業は既存の市場や業界構造、過去の成功体験から一度離れ、自社の技術や資源をゼロベースで再評価することが可能になります。
また、このイベントは宇宙分野の専門知識や高度な技術理解を前提としていません。食品、繊維、金属加工、金融など、多様な分野の事業者が同じ目線で参加できるような工夫が凝らされており、一部の先進企業だけでなく、地域産業全体を巻き込むような仕組みが実現されています。
さらに、落語のようなエンターテインメント要素を取り入れることで、宇宙に対する心理的なハードルを下げ、専門外の参加者でも自然に議論に参加できる環境が作られました。これは知識習得を目的としたセミナーではなく、「気づき」と「対話」を起点とした事業創出の場として、地域における自治体施策とも相性が良いと言えるでしょう。

宇宙落語も登場!参加者から生まれた新しいアイデア
イベントでは、地域企業11社が、自社の技術や地域資源を「宇宙生活」という視点で再解釈し、新しい事業アイデアを発表しました。発表されたアイデアには、「久留米絣×宇宙」「石鹸×宇宙」「竹×宇宙」「金属加工×宇宙」など、これまでは地上や地域内市場を前提としていた産業が中心で、従来の延長線上では生まれにくいようなユニークな発想が数多く創出されました。
当日は、久留米市長の原口新五氏が開会挨拶で久留米市からの宇宙産業への期待を表明。久留米工業大学副学長の麻生茂氏からは「宇宙活動の魅力と宇宙人材育成」について、SPACE FOODSPHERE理事の菊池優太氏からは「2050年、月面社会・宇宙社会が当たり前になる未来」をテーマに、食と暮らしの未来像が提示されました。
パネルトークでは、株式会社Space Food Lab.の浅野高光氏をモデレーターに、オガワ機工株式会社の伊藤慎二氏、株式会社BISAの金村間菜美氏、一般社団法人こがみらいの魚谷千代子氏と本田哲也氏が登壇し、地上の課題解決力をいかに宇宙へ転用するか、また宇宙視点での商品開発をどう日常のビジネスに転換するかについて、実践者からのリアルな取り組みが共有されました。
会場では、宇宙生活のQOL(Quality of Life)向上や、地上でのイノベーション転用につながる具体的なプロダクトやサービスのアイデア展示が行われました。展示・ピッチ登壇企業は以下の通りです。
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アイアント工業
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株式会社イナバ
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まるは油脂化学株式会社
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ReNestエンターテインメント
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株式会社ワールドグローブ
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魚久精肉総本店
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有限会社渕上熔接
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合同会社Bottled Local
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株式会社丸信
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株式会社オカモト商店
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高良山竹林環境研究所
参加企業からは、「たくさん刺激をいただきましたし、楽しかったです!宇宙食、少し真面目に考えてみたいです。」(魚久精肉総本店 四代目 中村 拓也様)や、「ここから何かが起こりそうな予感でした。大事なのはこの種火を絶やさず継続し、少しずつでいいから具体的に何をするかですね。」(オガワ機工株式会社 副社長 伊藤 慎二様)といった前向きなコメントが寄せられました。
イベント当日の様子としては、参加者の大半が「非宇宙」事業者であり、地域全体を巻き込むエコシステムが形成されたことが挙げられます。また、史上初となるビジネスイベントでの「宇宙落語」も導入され、久留米市出身の落語家・福々亭 金太郎氏が新作「スペ活界隈」を初披露。笑いの中で宇宙技術の地上への転用という本質的なテーマを楽しく学ぶことができました。


「久留米モデル」は全国へ展開可能!
この取り組みは、特定の先端技術や大規模投資、宇宙産業の集積を前提としていないため、他地域への展開も十分に可能です。久留米市で実証されたこのモデルは、地域にすでに存在する産業・人材・文化資源を起点としており、多くの自治体が共通して持つ条件の中で実践できる汎用性を備えています。
「宇宙」を目的とするのではなく、地域産業が未来を考えるための共通テーマ(仮想環境)として活用するため、宇宙分野の専門知識や研究機関の有無に左右されません。食品、製造、繊維、観光、サービスなど、各地域の主要産業に応じたテーマ設定が可能です。
また、事業設計は専門家主導の講義型ではなく、事業者同士の対話と発想が中心です。これにより、「一部の先進的事業者だけが参加する施策」ではなく、中小企業や後継世代、学生なども含めた幅広い参加を促すことができます。さらに、落語のようなエンターテインメント要素は、地域性や文化資源に合わせて柔軟に置き換え可能で、各自治体の特性に合わせたローカライズが容易です。
このモデルは単発イベントで終わるものではなく、事業アイデア創出から実証、商品化、地域内外への発信へと段階的に発展させることを想定しています。自治体は、既存の産業振興施策やスタートアップ支援、実証事業制度などと連携させることで、中長期的な地域産業政策の一部として位置づけることができるでしょう。
「久留米モデル」は、地域産業の高度化や次世代人材の育成、新たな事業創出に課題を感じている自治体・地域支援機関にとって、短期的・中長期的な産業政策の両方に役立つ施策として導入が期待されます。ご関心のある自治体の方は、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。
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Email:support@spacefoodlab.space



